小説『夜は短し歩けよ乙女』のあらすじ徹底解説|登場人物や映画との違いも

※【PR】この記事には広告を含む場合があります。

小説『夜は短し歩けよ乙女』のあらすじ徹底解説|登場人物や映画との違いも

この記事でわかること

ネタバレの有無を選びながら、物語の導入から結末までのあらすじ

作品の独特な魅力と、「面白い」や「読みにくい」といった読者の正直な感想

先輩や黒髪の乙女をはじめとする、物語を彩る個性的な登場人物たちの人物像

原作小説と、一夜の出来事として再構成されたアニメ映画版との主な違い

森見登美彦氏の代表作『夜は短し歩けよ乙女』。その魅力的なタイトルに惹かれつつも、「一体どんな話なの?」「独特な作風で読みにくいって本当?」といった疑問をお持ちではありませんか?

本記事では、そんなあなたのための完全ガイドとして、物語のあらすじをネタバレあり・なしの両方で徹底解説します。

さらには物語を彩る個性的な登場人物から、作品の深い魅力、アニメ映画版との違い、そして読者の正直な感想までも。

ヨミト
ヨミト

この記事ひとつですべてがわかります。さあ、奇妙で愛おしい京都の一夜へ、ご案内しましょう。

『夜は短し歩けよ乙女』のあらすじを徹底解説

『夜は短し歩けよ乙女』のイメージ画像6
イメージ|あらすじノオト

それでは早速、物語の基本情報から次の構成順に解説していきましょう

  • 小説『夜は短し歩けよ乙女』の基本情報
  • 大まかなあらすじ【ネタバレなし】
  • 主な登場人物
  • 各章の結末までのあらすじ【ネタバレあり】
  • 『夜は短し歩けよ乙女』の魅力【深掘り考察】
  • 読者の感想まとめ|つまらない?読みにくい?

小説『夜は短し歩けよ乙女』の基本情報

初めに、小説『夜は短し歩けよ乙女』に関する基本的な情報についてまとめます。

本作品は人気作家・森見登美彦さんの代表作のひとつです。恋愛ファンタジーの傑作として今なお多くのファンに愛されています。

書籍の基本データ

まずは、書籍としての基本的なデータを見ていきましょう。

項目内容
作者森見登美彦(もりみ とみひこ)
出版社KADOKAWA(角川文庫版)
刊行年2006年(単行本)、2008年(文庫本)
ページ数約336ページ(文庫版)
ジャンル恋愛ファンタジー、青春小説

文学賞受賞歴と評価

主な受賞歴として、第20回山本周五郎賞を受賞したほか、全国の書店員が選ぶ本屋大賞で第2位に輝きました。このように批評家と、読者の両方から高い評価を得ています。

イラストとメディア展開

また、一度見たら忘れられないポップな表紙イラストは、人気イラストレーターの中村佑介さんが手掛けています。このイラストも作品の顔として広く知られているでしょう。

さらに、本作の魅力は活字の世界にとどまりません。

2017年に公開され大ヒットしたアニメ映画をはじめ、漫画化や複数回にわたる舞台化も行われました。様々なメディアで展開されている点も大きな特徴といえます。

大まかなあらすじ【ネタバレなし】

『夜は短し歩けよ乙女』のイメージ画像5
イメージ|あらすじノオト

不器用な先輩と天真爛漫な乙女

本物語は京都を舞台に、不器用な男子大学生「先輩」が片想いの後輩「黒髪の乙女」を追いかけます。

これは奇妙でロマンチックな一年間の出来事を描いた、恋愛ファンタジーです。

先輩は「偶然の出会い」を装って、彼女の周囲に現れる日々を送ります。しかし当の乙女は、先輩の想いにまったく気づいていません。

乙女は持ち前の旺盛な好奇心のままに夜の街へと繰り出し、次々と不思議な冒険を繰り広げます。こ

このふたりの絶妙なすれ違いが、物語の大きな面白さを生み出しているのです。

例えば、先輩は「なるべく彼女の目にとまる作戦」、通称【ナカメ作戦】を日々実行しています。

一方、乙女は春の夜には先斗町で奇妙な大人たちと幻のお酒を探したり、夏には下鴨神社の古本市で不思議な出来事に遭遇したりします。

この記事の筆者ヨミト
この記事の筆者ヨミト

さらには秋の学園祭でゲリラ演劇の主役に抜擢されるなど、先輩の計画の上をいくのです。

ふたりの視点で描かれる物語

また本物語の大きな特徴として、先輩と乙女、ふたりの視点が交互に語られる点が挙げられます。

同じ出来事を経験していても、先輩の屁理屈だらけの内面と、乙女の天真爛漫な視点では、まったく違った世界が見えてくるでしょう。

読者はこの視点の違いを通して、ふたりの関係が少しずつ変わっていく様子を楽しむことができます。

主な登場人物を紹介

たくさんの人物のフィギアの画像(登場人物のイメージ)

『夜は短し歩けよ乙女』の物語は、個性豊かな登場人物たちによって彩られます。ここでは物語の理解を深めるために、主要なキャラクターを少し詳しく紹介しましょう。

先輩

本作の男性主人公で、恋に悩む不器用な、いわゆる「腐れ大学生」です。後輩である「黒髪の乙女」に一途な想いを寄せており、日々「ナカメ作戦」を実行して彼女の気を引こうとします。

しかし直接話しかける勇気がなく、屁理屈をこねては「偶然」を装う作戦ばかり立てる、どこか憎めない人物として描かれています。

黒髪の乙女

物語のヒロインであり、天真爛漫で好奇心旺盛な後輩です。

お酒と面白いことが大好きで、特にラム酒を好みます。物事を深く考えずに行動するため、次々と奇妙な事件に巻き込まれますが、本人はそれを「ご縁」として楽しんでいます。

いざという時には、愛のこもった「おともだちパンチ」を繰り出す一面も持っています。

樋口師匠と羽貫さん

神出鬼没のコンビです。

自らを「天狗」と称し不思議な術を使う樋口師匠と、歯科衛生士でありながら鯨のようにお酒を飲む美女・羽貫さん。

ふたりは乙女を奇妙な夜の冒険へと誘います。

ヨミト
ヨミト

樋口師匠と羽貫さんは著者の別作品『四畳半神話大系』にも登場する、ファンにはおなじみのキャラクターです。

李白(りはく)さん

京都の夜の世界で知られる謎の富豪の老人です。

三階建ての自家用電車を乗り回し、幻の酒「偽電気ブラン」を所有しています。物語の重要な局面で、圧倒的な存在感をもって登場します。

パンツ総番長

ある女性との再会を願い、「願いが叶うまでパンツを穿き替えない」と誓った大学生です。

一途でロマンチストな性格の持ち主であり、学園祭で上演されるゲリラ演劇の首謀者として物語を大きく動かしていきます。

学園祭事務局長

先輩の数少ない友人で、学園祭のすべてを取り仕切る美貌の持ち主です。女装という趣味もあり、彼の行動が物語を一層かき回すことになります。

各章の結末までのあらすじ【ネタバレあり】

『夜は短し歩けよ乙女』のイメージ画像2
イメージ|あらすじノオト

本物語は、春夏秋冬の季節に対応した四つの章で構成されています。ここでは物語の結末に触れながら各章のあらすじを解説します。

著作権に配慮し、一部の表現は抽象的にしていますのでご了承ください。加えて、物語の核心に迫る部分を解説しますので、未読の方はご注意ください。

第一章|夜は短し歩けよ乙女(春)

春の夜、乙女は好奇心のままに京都の飲み屋街を冒険します。そこで出会った不思議な男女に導かれ、様々な宴会に参加していくのです。

一方、乙女を追いかける先輩はトラブルに見舞われ、なかなか近づけません。

物語は乙女がある人物を助けるため、街の有力者である老人と幻のお酒を賭けた奇妙な対決に挑みます。これは奇想天外な展開の始まりです。

第二章|深海魚たち(夏)

夏の古本市を舞台に、乙女が探す一冊の絵本を巡って物語は展開します。

乙女は幼い頃に大切にしていた思い出の絵本を探しに古本市へ向かいました。先輩もまた、彼女のためにその本を手に入れようと奮闘します。

しかしそこでは、「古本市の神様」を名乗る不思議な少年が暗躍していました。

最終的に先輩は、乙女のために正気を疑う試練で本を競う羽目になります。

第三章|御都合主義者かく語りき(秋)

大学の学園祭で上演される神出鬼没のゲリラ演劇が、ふたりの関係を大きく動かすことになります。

乙女はひょんなことから、その演劇の思わぬ大役を任されてしまいました。

先輩は乙女と舞台の上で共演するという、千載一遇の好機を掴もうとします。そのために、本来の主役である「パンツ総番長」に成り代わろうと画策するのです。

筆者ヨミト
筆者ヨミト

学園全体を巻き込んだ騒動の末、ふたりは舞台上で予期せぬ形で急接近します。

第四章|魔風邪恋風邪(冬)と結末

冬になり、京都の街では不思議な風邪が大流行します。乙女以外の主な登場人物は次々と寝込んでしまいました。

いつも街で見かけていた先輩の姿がないことに気づいた乙女は、心配になり彼のお見舞いへ向かうことを決意します。

先輩もまた、高熱にうなされながら乙女への想いを募らせていました。

様々な出来事を経て、ふたりはついに直接向き合う機会を得ます。

これまで外堀を埋めるばかりだった先輩の恋は、この冬の出来事をきっかけに、ついに大きな一歩を踏み出すことになるでしょう。

ふたりの長い夜が明け、新しい関係が始まることを予感させる、希望に満ちた結末を迎えるのです。

『夜は短し歩けよ乙女』の魅力【深掘り考察】

「考察」の文字とノート

この作品が多くの読者を惹きつける魅力は、あらすじだけでは伝わりきらない部分に隠されています。ここでは物語をより深く楽しむための3つのポイントを解説いたします。

独特の文体と奇想天外な世界観

1つ目の魅力は、森見登美彦さんならではの独特な文体と世界観です。

ヨミト
ヨミト

少し古風でありながらも、まるで落語を聞いているかのようなテンポの良い言葉遣いが特徴といえます。

先輩がひとりで繰り広げる屁理屈だらけの内面描写。これは、他の小説では味わえない独特のリズムとユーモアを生み出しています。

加えて、三階建ての電車が夜の街を走り、空から鯉が降ってくるなど、現実の京都の風景に奇想天外なファンタジー要素が加わります。

これらが自然に溶け込んでいるのです。読者はこの夢とも現実ともつかない、不思議な世界に引き込まれていくでしょう。

「ご縁」で繋がる巧みな物語構成

また一見するとバラバラに見える出来事や登場人物が、「ご縁」というテーマで繋がっていく巧みな構成も大きな魅力です。

本物語は先輩が意図的に仕組む「必然」と、乙女が純粋な好奇心で引き寄せる「偶然」が複雑に絡み合って進んでいきます。

春の夜に出会った人物が、夏の古本市や秋の学園祭で再び重要な役割を果たします。

このように物語が進むにつれて、点と点が線になる面白さを味わえるでしょう。まるで運命の赤い糸が手繰り寄せられていくかのような、見事な物語構造になっています。

物語を彩る個性的な脇役たち

そしてもうひとつは、主人公ふたりを取り巻く、個性豊かな登場人物たちの存在です。

ヨミト
ヨミト

「夜は短し歩けよ乙女」の面白さは、強烈に個性的な脇役たちによって支えられています。

自称天狗の樋口師匠や、謎の富豪である李白さん、一途なパンツ総番長など、一度見たら忘れられないキャラクターたちが登場します。

彼らはただの変人ではなく、それぞれが独自の哲学や物語を持つ、どこか憎めない愛すべき人物たちです。

彼らが時に物語をかき乱し、時にふたりを助けることで、予測不可能な展開が生まれます。

読者の感想まとめ|つまらない?読みにくい?

「評価」という文字を虫眼鏡で見ている

『夜は短し歩けよ乙女』はベストセラーとなり多くの読者から絶賛されていますが、その独特な作風から「自分には合わなかった」という声も一部存在します。

ここでは様々な感想を客観的にまとめました。

多くの読者を魅了する点

肯定的な感想としては、「キャラクターが全員個性的で面白い」「独特の言葉選びや言い回しが癖になる」「読後はハッピーな気持ちになれる」といった声が多く見られます。

現実とファンタジーが入り混じる不思議な世界観や、ユーモアあふれる展開が、特に多くの読者を楽しませているようです。

また、「京都の街並みが目に浮かぶようで、知っている場所が出てくると嬉しくなる」といった、舞台設定に関する評価も目立ちます。

好みが分かれる理由

一方で、「独特の文体が読みにくい」「話が奇想天外すぎて意味不明に感じた」といった否定的な感想も見受けられます。

具体的には、「文章がまどろっこしくて、なかなか読み進められなかった」「熱の時に見る夢のようで、現実なのかファンタジーなのか混乱した」という意見がありました。

ヨミト
ヨミト

人によっては、独特のリズムが合わず、途中で読むのをやめてしまうこともあるようです。

このように、本作はその個性の強さから「好き嫌いがはっきり分かれる」作品だといえるでしょう。

もしあなたが論理的なストーリー展開よりも、言葉遊びの面白さや夢のような雰囲気を楽しみたいのであれば、本物語は最高の読書体験を提供してくれます。

逆にリアリティのある恋愛小説を求めている場合は、少し戸惑うかもしれません。

まずは試し読みで、この独特な文章に触れてみることをお勧めします。

『夜は短し歩けよ乙女』あらすじ以外の魅力も紹介

物語のあらすじを掴んだところで、ここからはさらに作品を深く楽しむための次の情報を紹介します。

  • 【アニメ映画版】の魅力と小説との違いを解説!
  • 作者・森見登美彦さんはどんな人?
  • 『四畳半神話大系』を先に読むべき?本作の続編は?
  • 『夜は短し歩けよ乙女』を今すぐ楽しむ方法
  • 【Q&A】その他の質問をまとめて解説

【アニメ映画版】の魅力と小説との違いを解説!

2017年に公開されたアニメ映画版は、第41回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞した評価の高い作品です。

原作小説の魅力を凝縮しつつ、映像ならではの表現で新たな楽しみ方を提示しており、小説ファンはもちろん、初めて物語に触れる人にもオススメできます。

ヨミト
ヨミト

映画版の最大の魅力は、湯浅政明監督による独特で疾走感あふれる映像表現にあります。

小説で描かれた奇妙でユーモラスな世界観が、極彩色のポップなアニメーションとして見事に再現されているのです。

また先輩役の星野源さん、黒髪の乙女役の花澤香菜さんに加え、パンツ総番長役にお笑い芸人の秋山竜次さん(ロバート)を起用するなど、多彩なキャスト陣がキャラクターの魅力を引き出しています。

小説との大胆な違い

小説とのもっとも大きな違いは物語の時間軸です。

小説が春夏秋冬の一年間を描いているのに対し、映画ではすべての出来事が「一夜」に凝縮されています。

これにより物語のテンポが非常に速くなり、まるでジェットコースターのようにめくるめく一夜の冒険を楽しめるようになっています。

ヨミト
ヨミト

さらに映画化にあたり、一部のキャラクター設定やエピソードも大胆に変更、再構成されました。

例えば、学園祭で上演されるゲリラ演劇「偏屈王」はミュージカル仕立てにアレンジされ、音楽と映像が一体となった見せ場になっています。

加えて、「パンツ総番長」が一目惚れした相手が、小説とはまったく違う人物に変更されているなど、原作ファンも驚くような展開が待っているでしょう。

このように映画版は小説をなぞるだけでなく、一本の映像作品として楽しめる工夫が随所に凝らされています。

項目小説版アニメ映画版
時間軸春夏秋冬の一年間連続した一夜
パンツ総番長が想いを寄せる相手須田紀子という女子学生映画オリジナルの別の人物
ゲリラ演劇「偏屈王」学園祭での演劇大規模なミュージカルシーンとして描かれる
「おともだちパンチ」の由来姉から伝授された母から伝授された
古本市の神様美少年として描写『四畳半神話大系』の小津を思わせる容姿

作者・森見登美彦さんはどんな人?

『夜は短し歩けよ乙女』のイメージ画像3
イメージ|あらすじノオト

京都と学生生活

作者の森見登美彦(もりみ とみひこ)さんは、京都を舞台にしたユーモラスで不思議な物語で知られる、人気の小説家です。

独特の言葉選びと、現実とファンタジーを巧みに融合させる作風で、多くのファンを魅了しています。その文体は大学時代に親しんだ、日本の近代文学から影響を受けているといわれています。

1979年に奈良県で生まれ、京都大学の大学院を修了しました。ご自身の学生生活の経験が作品に色濃く反映されているのが特徴です。

ヨミト
ヨミト

なおペンネームは本名の「森見」に、故郷にゆかりのある歴史上の人物の名前を組み合わせたものだそうです。

在学中に執筆した『太陽の塔』でデビューし、本作『夜は短し歩けよ乙女』では山本周五郎賞を受賞するなど、数々の文学賞に輝いています。

数々の代表作

代表作には本作の他に、同じく京都の大学生を描いた『四畳半神話大系』や、狸の一家が主人公の『有頂天家族』、少年の一夏の冒険を描いた『ペンギン・ハイウェイ』などがあります。

これらの作品の多くはアニメ化もされており、高い評価を得ています。

作品に京都の具体的な地名が多く登場しますが、これは学生時代のアルバイト経験で街の地理に詳しくなったことが背景にあるようです。

このように森見さんの作品は大学生のほろ苦い青春や、京都という街の持つ不思議な魅力を独自の視点で描いているといえるでしょう。

ヨミト
ヨミト

ご自身の作品を「我が子」に例えるなど、その深い愛情もファンに知られています。

※ 『有頂天家族』に関する詳細は「小説『有頂天家族』のあらすじを徹底解説!登場人物からアニメとの違いまで」で取り上げています。

『四畳半神話大系』を先に読むべき? 本作の続編は?

『夜は短し歩けよ乙女』のイメージ画像4
イメージ|あらすじノオト

『夜は短し歩けよ乙女』を読んで森見登美彦作品に興味を持った方から、よくこの質問が挙がります。ここでは読む順番と,

続編の有無について解説します。

読む順番のおすすめは?

まず結論として、『夜は短し歩けよ乙女』と『四畳半神話大系』は独立した物語です。そのため、どちらから読んでも十分に楽しむことができます。

ただし『四畳半神話大系』を先に読むと、より楽しめるかもしれません。

このふたつの作品は、同じ大学を舞台にしており、世界観を共有しています。そのため樋口師匠や羽貫さんといった、共通の登場人物が出てきます。

『四畳半神話大系』を先に読んでおくと、彼らの背景がわかり、「あの人がここにも!」という発見の楽しみが増えるでしょう。

もちろん、逆の順番で読んで答え合わせをするのも面白いです。

※ 『四畳半神話大系』の詳細は、「『四畳半神話大系』あらすじ徹底考察|小津の正体と小説/アニメの結末の違い」で取り上げています。

続編について

また本作の直接的な続編についてですが、残念ながら2025年8月現在、公式には発表されていません。

しかし前述の『四畳半神話大系』など、同じ世界観を持つ他の森見登美彦作品を読むことで、本作の世界をさらに広げることが可能です。

『夜は短し歩けよ乙女』を今すぐ楽しむ方法

人差し指(チェックのイメージ)

本作品に興味を持った方は、小説とアニメ映画の両方で物語を楽しむことができます。どちらから触れるかによって、異なる魅力を発見できるでしょう。

小説で楽しむ

森見登美彦さんの独特な文章表現や言葉遊びをじっくり堪能したい方には、まず原作小説をおすすめします。

KADOKAWAから文庫本が出版されており、全国の書店やオンラインストアで購入可能です。またコミックシーモア、Kindleなどの電子書籍ストアでも手軽に読むことができます。

アニメ映画で楽しむ

物語の全体像をテンポよく掴みたい方や、不思議な世界観を映像で楽しみたい方には、アニメ映画が良いでしょう。

U-NEXTやディズニープラスといった動画配信サービスでは見放題で、Prime Videoなどではレンタルで視聴することが可能です。

ヨミト
ヨミト

ただし配信状況は変更される場合があるため、各サービスの公式サイトで最新情報をご確認ください。

まずはご自身のスタイルに合った方法を選び、この奇妙で魅力的な物語の世界に触れてみてはいかがでしょうか。

【Q&A】その他の質問をまとめて解説

「Q&A」と印字された木のブロック

ここでは『夜は短し歩けよ乙女』について、読者からよく寄せられる質問とその答えをまとめて解説します。

Q1. 「夜は短し歩けよ乙女」の名言はありますか?

はい、本作には読者の心に残る、ユニークで印象的なセリフが数多く登場します。

森見登美彦さんの独特な言葉選びが、キャラクターの性格や物語の世界観を象徴するフレーズを生み出しています。

例えば、以下のような言葉が挙げられます。

「こうして出逢ったのも、何かの御縁。」

黒髪の乙女がよく口にするセリフで、作品全体のテーマを象徴しています。

「おともだちパンチ」

乙女が使う、親指を内に握り込んだ優しさあふれる必殺技の名前です。

「ナカメ作戦」

先輩が実行する「なるべく乙女の目にとまる作戦」の略称で、彼の不器用な恋心を表しています。

これらの言葉は、物語を読んだ後も記憶に残り、作品の魅力をより一層深めてくれるでしょう。

Q2. アニメ映画版のキャストは誰ですか?

アニメ映画版では、現在のエンターテインメント業界で活躍する豪華な俳優や声優がキャストを務めています。主要なキャストは以下のとおりです。

  • 先輩:星野源さん(俳優・音楽家)
  • 黒髪の乙女:花澤香菜さん(声優)
  • 学園祭事務局長:神谷浩史さん(声優)
  • パンツ総番長:秋山竜次さん(お笑いコンビ・ロバート)
  • 樋口師匠:中井和哉さん(声優)
  • 羽貫さん:甲斐田裕子さん(声優)
  • 李白:麦人さん(声優)

このような多彩なキャスト陣による演技も、映画版の大きな見どころのひとつです。

Q3. 聖地巡礼はできますか?

はい、可能です。本作の舞台である京都には、物語に登場する場所が数多く実在しており、ファンによる「聖地巡礼」も楽しまれています。

主なスポットとしては、以下のような場所が挙げられます。

■先斗町(ぽんとちょう)
物語の序盤で乙女が飲み歩く、風情ある通りです。

■下鴨神社と糺の森(ただすのもり)
夏の古本市が開催された場所として登場します。

■京都大学
先輩と乙女が通う大学のモデルで、学園祭の舞台となりました。

■進々堂 京大北門前
物語の最後にふたりが訪れる、実在する喫茶店です。

これらの場所を実際に訪れることで、物語の世界をより深く体感することができるでしょう。

『夜は短し歩けよ乙女』のあらすじと魅力の総括

黒板に「まとめ」の文字

不器用な「先輩」と天真爛漫な「乙女」が、摩訶不思議な京都の街で繰り広げる奇妙で愛おしい恋物語。

本記事が、あなたが小説や映画といった形でこの素晴らしい作品世界に触れる、素敵な「ご縁」の始まりとなれば幸いです。

それでは最後にポイントを箇条書きでまとめます。

  • 森見登美彦の代表作で、山本周五郎賞を受賞した恋愛ファンタジー小説である
  • 京都を舞台に、不器用な「先輩」が後輩の「黒髪の乙女」を追いかける物語
  • 先輩の視点と乙女の視点が交互に語られる構成が特徴
  • 物語は春夏秋冬の季節に対応した四つの章で構成される
  • 先輩は「ナカメ作戦」と称し、乙女との偶然の出会いを画策する
  • 乙女は好奇心旺盛な酒豪で、先輩の想いには全く気づかない
  • 樋口師匠やパンツ総番長など、強烈に個性的な脇役たちが登場する
  • 現実の京都にファンタジー要素が融合した独特の世界観を持つ
  • 一見無関係な出来事が「ご縁」というテーマで繋がっていく
  • 独特でリズミカルな文体は高く評価されるが、読みにくいという意見もある
  • 湯浅政明が監督したアニメ映画版は、日本アカデミー賞を受賞した
  • 映画版では一年間の物語が「一夜の出来事」として再構成されている
  • 先輩役を星野源、乙女役を花澤香菜など豪華キャストが務める
  • 『四畳半神話大系』とは世界観を共有する姉妹作のような関係である
  • 作中に登場する京都の場所を巡る「聖地巡礼」もファンに人気

最後までお読みいただき、ありがとうございました。書評ブロガーのヨミトがお届けしました。詳しいプロフィールはこちら

森見登美彦 関連記事
≫ 小説『有頂天家族』のあらすじを徹底解説!登場人物からアニメとの違いまで

≫ 『ペンギン・ハイウェイ』あらすじ・登場人物・感想まとめ|映画版の違いも

≫ 『四畳半神話大系』あらすじ徹底考察|小津の正体と小説/アニメの結末の違い

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA