
この記事でわかること
✓ 女子大生が父親を殺害した事件の基本的な筋書きと発端
✓ 主要な登場人物(心理師、容疑者、弁護士など)とその関係性の概要
✓ 事件の真相、隠された動機、物語の結末(ネタバレ情報を含む)
✓ 作品が描く虐待やトラウマ、愛といった深いテーマ性
「動機はそちらで見つけてください」
女子大生・環菜はなぜ父を殺したのか?嘘と真実が交錯する中、公認心理師・由紀も自身の心の闇と向き合うことになります。
直木賞受賞作原作、北川景子ら豪華キャストで贈る映画『ファーストラヴ』。単なる事件の謎解きではなく、登場人物のトラウマや「見えにくい傷」に深く迫るサスペンスミステリーです。
ここでは、あらすじ(ネタバレあり/なし)から事件の真相、登場人物の関係性、隠されたテーマ、キャストの演技、感想・評価まで徹底解説。

タイトルの真の意味にも迫ります。この物語の深淵を覗いてみませんか?
映画『ファーストラヴ』のあらすじと基本情報
![「ファーストラヴ]のイメージ画像](https://synopsis-note.com/wp-content/uploads/First-Love-image.jpg)
この章では次のことを取り上げて、映画『ファーストラヴ』の基本情報をご紹介します。
- ファーストラヴとは?作品概要
- 登場人物・キャストと気になる関係性
- あらすじ|ネタバレなし版をチェック
- 見どころ・魅力を深掘り|豪華キャストの演技
ファーストラヴとは? 作品概要
『ファーストラヴ』は、島本理生さんの直木賞受賞小説を原作とした、堤幸彦監督によるサスペンスミステリー映画です。
この作品は女子大生による父親殺害事件の謎と、事件を取材する公認心理師の心の闇が交錯する物語を描いています。

単なる事件解決に留まらず、登場人物たちの複雑な心理描写や過去のトラウマに深く迫る点が特徴となります。
映画は2021年2月11日に公開され、次の実力派俳優陣が出演しました。
- 北川景子さん
- 中村倫也さん
- 芳根京子さん
- 窪塚洋介さん…など
原作は第159回直木賞を受賞しており、その濃密なヒューマンドラマと予測不能な結末が話題を呼びました。映画化にあたり、主題歌にはシンガーのUruさんが起用されています。
このように、『ファーストラヴ』は文学的な深みとエンターテインメント性を兼ね備えた作品といえるでしょう。
登場人物・キャストと気になる関係性
![「ファーストラヴ]のイメージ画像2](https://synopsis-note.com/wp-content/uploads/First-Love-image2.jpg)
本作には魅力的な登場人物が多く登場します。彼らを演じる豪華キャストと、複雑に絡み合う人間関係が見どころのひとつです。
物語の中心となるのは、公認心理師の真壁由紀(北川景子さん)です。冷静沈着に見えながらも自身の過去に深いトラウマを抱え、事件の容疑者である女子大生・聖山環菜(芳根京子さん)に自分を重ねていきます。

北川さんは役作りのため、デビュー後初のショートヘアでこの難役に挑みました。
対する環菜は、父親殺害の容疑をかけられながらも供述を二転三転させ、周囲を翻弄する複雑な内面を持つ少女です。
さらに物語を動かすのが、環菜の弁護士を務める庵野迦葉(中村倫也さん)です。
彼は由紀の義理の弟でありながら大学時代の同級生でもあり、由紀との間には特別な過去が存在します。迦葉自身もまた、母親に関するトラウマを抱えていることが示唆されます。
そして由紀を優しく支える夫であり、迦葉の義兄でもある写真家・真壁我聞(窪塚洋介さん)の存在も重要です。彼は不安定な物語の中で確かな安定感を与えています。
注目すべき人物たちの関係性
特に注目すべきは由紀と迦葉の関係性です。単なる義理の姉弟や元同級生というだけでなく、過去には恋愛に近い感情があったことをうかがわせる描写があります。

互いの心の傷を知る2人が、現在の事件を通してどのように対峙し、過去がどう影響するのか目が離せません。
また環菜の両親、聖山那雄人(板尾創路さん)と昭菜(木村佳乃さん)の異様な言動や歪んだ親子関係も重要です。これらは事件の真相を探る上で非常に大きな意味を持ちます。
脇を固める高岡早紀さん(由紀の母)なども含め、実力派キャストがそれぞれの役柄が持つ闇や葛藤を深く体現しています。この点も見逃せないでしょう。
これらの複雑な人物像と絡み合う関係性を注意深く追うことで、物語のサスペンスとドラマをより一層深く理解し、楽しめるはずです。
あらすじ|ネタバレなし版をチェック

物語はアナウンサーを目指す女子大生・聖山環菜が、父親を刺殺した容疑で逮捕される場面から始まります。
彼女が口にした「動機はそちらで見つけてください」という言葉は、世間の注目を集め、事件は不可解な様相を呈します。
一体、環菜は何を隠しているのでしょうか。
公認心理師の真壁由紀は、この事件のドキュメンタリー本執筆のため、環菜の取材を開始します。
弁護士である義弟・庵野迦葉の協力のもと、由紀は環菜の心の奥深くへと迫ろうと試みます。しかし環菜の供述はコロコロと変わり、真実が見え隠れします。

由紀は取材を通して環菜の過去に触れるうちに、自分自身の封印していた記憶が呼び覚まされるのを感じます。
なぜ環菜はウソをつくのか、そして由紀が隠す過去とは何か。ふたりの女性の心理が交錯する、先の読めないサスペンスが展開されていきます。
見どころ・魅力を深掘り|豪華キャストの演技
![「ファーストラヴ]のイメージ画像3](https://synopsis-note.com/wp-content/uploads/First-Love-image3.jpg)
本作『ファーストラヴ』を語る上で欠かせないのが、豪華俳優陣が見せる圧巻の演技です。それぞれのキャストが複雑な内面をもつキャラクターに深みを与え、観る者を引き込みます。
主人公・由紀を演じる北川景子さんは、強い意志と脆さを併せ持つ心理師の姿を、髪を短くしてまで挑んだ役作りで表現しました。
父親殺しの容疑者・環菜役の芳根京子さんは、感情のジェットコースターのような起伏を驚くべき迫力で演じきりました。その演技は多くの称賛を集めています。
由紀の過去を知るミステリアスな弁護士・迦葉役の中村倫也さんは、その憂いを帯びた表情と声でキャラクターの繊細さを際立たせています。
そして包容力のある夫・我聞役の窪塚洋介さんは、物語全体に温かみと信頼感をもたらす重要な存在感を示しています。
脇を固める実力派と演技の相乗効果
板尾創路さん、木村佳乃さんといった実力派も、一筋縄ではいかない人物像を巧みに演じ、物語に緊張感を与えています。
彼らの演技がぶつかり合うことで、登場人物たちの心の叫びや葛藤がリアルに伝わってきます。
特に北川さんと芳根さんが対峙する面会室のシーンは、息をのむほどの緊迫感に満ちています。俳優たちの熱演によって、重いテーマながらも目が離せない人間ドラマが描き出されました。
『ファーストラヴ』あらすじの深層|ネタバレ解説
![「ファーストラヴ]のイメージ画像4](https://synopsis-note.com/wp-content/uploads/First-Love-image4.jpg)
後半では次のことを取り上げて、『ファーストラヴ』の世界をさらに深堀していきます。
- 詳しいあらすじ 犯人や結末は?|ネタバレあり
- 見どころ・魅力を深掘り|隠されたテーマ性
- 映画と原作小説の違いを比較
- 感想・評価まとめ
詳しいあらすじ 犯人や結末は?|ネタバレあり
ここからは物語の核心、事件の真相と結末について詳しく解説します。ネタバレを含みますのでご注意ください。
環菜の生育環境とトラウマ
取材によって明らかになるのは、環菜が幼少期から特異な環境に置かれていた事実です。
画家である父・那雄人のデッサン会で環菜は、長時間、複数の男性たちの好奇と品定めの視線に晒され続けました。この経験は彼女から自己肯定感を奪い、男性に対する歪んだ認識を植えつけます。
さらに小学生時代に、唯一優しさを見せたコンビニ店員・小泉裕二に救いを求めます。しかし彼の未熟さも相まって、結果的にその関係は環菜をさらに傷つける不適切なものとなりました。
事件当日の真相
これらの過去が事件当日の行動へと繋がっていきます。アナウンサーの面接で、男性面接官たちの視線にデッサン会のトラウマを呼び覚まされた環菜は、強い精神的動揺に見舞われます。
そして過去に自傷行為でデッサンモデルを免れた経験から、「自分を罰し、父に確認してもらう」という、歪んだ形で許しを得ようと考えました。彼女は包丁を購入し自らの腕を傷つけます。
父・那雄人にその傷を見せ、止めさせようとした際、濡れた床での偶発的なもみ合いのなかで、環菜が握っていた包丁が那雄人の胸に刺さってしまったのです。
これが事件の真相であり、環菜に明確な殺意は存在しませんでした。
由紀と迦葉、それぞれの過去
一方でこの事件に深く関わる公認心理師の由紀自身も、父親(海外での少女買春が発覚)から向けられた性的な視線に苦しんだトラウマを抱えています。
この過去が環菜への強い共感と執着を生み、同時に弁護士である義弟・迦葉(母親に捨てられた過去を持つ)との複雑な関係性にも影響を与えます。

迦葉もまた、環菜や由紀のなかに自身の母親の影を見出し、事件に複雑な感情で向き合います。
裁判の経過と判決
裁判では弁護人である迦葉が環菜の殺意の否定と、彼女が置かれてきた劣悪な家庭環境、精神状態を強く主張します。
かつて環菜を追い返してしまった小泉裕二も、罪悪感から証言台に立ち、当時の環菜の状況を語ることで、彼女の心を少し救いました。
最終的に、環菜には状況が考慮されつつも、結果責任を問われ懲役8年の実刑判決が下されます。
しかし初めて自分の言葉で真実を語り、理解者を得た環菜には、服役を受け入れる前向きな変化が見られました。
明かされる母の過去と未来への希望
裁判後、由紀は環菜の母親・昭菜の腕にも無数のリストカット痕を発見します。
これは昭菜自身もまた虐待の被害者であり、その「負の連鎖」のなかで娘を救えなかった可能性を強く示唆する衝撃的な場面です。
由紀と迦葉もこの事件を通して自身のトラウマと向き合い、互いを理解し、過去から解放され未来へ歩み出すきっかけを得ます。
物語の最後には刑務所の環菜から由紀へ、自身の言葉で過去を綴りたいという前向きな手紙が届き、再生への確かな希望を感じさせて幕を閉じます。
見どころ・魅力を深掘り|隠されたテーマ性
![「ファーストラヴ]のイメージ画像5](https://synopsis-note.com/wp-content/uploads/First-Love-image5.jpg)
『ファーストラヴ』の真髄は、巧みなサスペンスの先に描かれる、現代社会にも通底する根深いテーマ性にあります。
この物語は単なる事件の謎解きではありません。その核心には、家庭内に潜む見えにくい虐待や性的な搾取、そしてそれらが個人の心に刻む消えない傷跡という、非常に重い主題が存在します。
見えにくい虐待と心理的構造
本作が特に鋭く描いているのは、被害者自身がその被害を明確に認識できなかったり、社会や家族から「黙る」ことを強いられたりする心理的な構造です。
環菜がデッサン会で浴びた多くの男性からの「視線」は、彼女をひとりの人間としてではなく“対象物”として扱う非人間的な暴力性を帯びています。
また小泉裕二との関係は、愛情を渇望するあまり歪んだ関係性を受け入れてしまう危うさと、未成年に対する無自覚な加害やグルーミングといった現代的な問題を提起します。
由紀の父親による児童買春や、環菜の母・昭菜の娘への無関心と彼女自身の腕に残る無数の傷跡は、虐待やトラウマが世代間で連鎖してしまう「負の連鎖」の悲劇を痛切に示唆しているでしょう。
回復への鍵「共感」と「受容」
しかし本作は絶望だけを描くわけではありません。
由紀は環菜に寄り添い、登場人物たちは互いに「自分」を重ね合わせながら理解を深め、受け入れようとします。
その姿は「共感」と「受容」こそが、深い傷からの回復への第一歩であることを示しています。
タイトルに込められた様々な意味
そして「ファーストラヴ」というタイトル。このタイトルは単なる“初恋”を指すだけではありません。
人が人生で最初に経験するはずの親からの「愛情」のあり方や、初めて他者から向けられた(時には歪んだ)「愛情」といった意味合いも含まれます。

さらに真実の「愛情」を切望する心の叫びなど、多層的で複雑な意味合いを内包しているのです。
このように『ファーストラヴ』は、家族やトラウマ、愛の本質、そして社会に潜む歪みについて、観る者一人ひとりに深く、そして強く問いかけてきます。
まさに思索を促す力をもった作品なのです。
映画と原作小説の違いを比較

映画『ファーストラヴ』は、島本理生さんの原作小説に概ね忠実に作られていますが、いくつかの点で違いが見られます。
映画という媒体の特性上、物語の構成や登場人物の描写に脚色が加えられているためです。これにより視覚的な表現が強化されたり、テーマ性がより明確になったりする効果が生まれています。
登場人物設定とラストシーンの変更点
大きな違いのひとつとして、原作では由紀と我聞の間に息子・正親が存在しますが、映画版では登場しません。
この変更により、映画版では由紀と我聞が「本当の家族」になるまでの過程や、未来への希望がラストの個展シーンで象徴的に描かれることになりました。
環菜の主体性と細かな描写の違い
また原作では、由紀が環菜の事件を元に「性虐待を受けた女性たちのノンフィクション」を執筆する流れになります。
しかし映画では、環菜自身が「自分の物語を書きたい」と手紙で語る結末に変更されています。これは環菜自身の主体性や、未来への意志をより強調する演出といえるでしょう。
他にも環菜の母親のリストカット描写の強調や、登場人物の細かな心理描写の省略など、映像化に伴う違いが存在します。
こうした違いを理解した上で映画と原作を比較すると、それぞれの媒体が持つ表現の面白さやテーマの解釈の違いをより深く味わうことができるはずです。
感想・評価まとめ|「ひどい」という感想も

映画『ファーストラヴ』は、試写会のアンケートで満足度93%を記録するなど、多くの観客から高い評価を得ています。
高評価のポイント
芳根京子さんが演じた環菜の鬼気迫る演技は、特に絶賛されており、「演技力が素晴らしい」「引き込まれた」といった声が多数寄せられました。
また中村倫也さんや、窪塚洋介さんら実力派俳優陣の繊細な演技や存在感も高く評価されています。
物語については、次のようにサスペンスとしての面白さと、深い感動を伴う人間ドラマの両面が支持されているようです
「伏線が繋がり謎が解けていく快感があった」
「自分を大切にしたくなった」
「結末に感動した」…など
堤幸彦監督の演出や、Uruさんの主題歌・挿入歌が作品の世界観を高めている点も好評でした。
賛否が分かれる点
一方で、「ひどい」といった否定的な感想や、評価が分かれる点も見受けられます。
一部のレビューでは北川景子さんの演技について、次のような厳しい意見がありました。
- 感情表現が硬い
- わざとらしい
- 役柄と合っていない
芳根京子さんの演技が絶賛される一方で、比較対象として厳しい目が向けられた可能性もあります。
また原作と比較して、「由紀と迦葉の過去の描写が長い」「環菜の視点が少ない」と感じる声や、「都合の良い偶然が多い」「設定が特殊すぎる」といった脚本への指摘も見られます。
「ファーストラヴ」というタイトルと内容の重さのギャップに戸惑う意見や、サスペンスを期待していた層からは「ヒューマンドラマ要素が強すぎる」という感想もありました。

過呼吸のシーンが多く、観るのが辛かったという声も存在します。
評価が分かれる背景
このように本作は、俳優の演技や感動的なストーリー展開を評価する声が多い一方で、脚本や演出、テーマの描き方については賛否が分かれる傾向にあるようです。
鑑賞する人自身の経験や価値観によって、受け止め方が大きく変わる作品といえるかもしれません。
『ファーストラヴ』あらすじとポイント総括まとめ

映画『ファーストラヴ』は父殺害事件の衝撃的な真相と、その奥にある虐待・トラウマ・負の連鎖を鋭く描いた作品です。タイトルの様々な「愛」の意味と共に、観る者に深く問いかけます。
最後にポイントを箇条書きでまとめます。
- 島本理生の直木賞受賞小説が原作、監督は堤幸彦
- 女子大生による父殺害事件の謎と、心理師の過去が交錯
- 主要キャストは北川景子、中村倫也、芳根京子、窪塚洋介ら
- 主人公・由紀と義弟・迦葉の過去の因縁が重要
- 容疑者・環菜は父からの虐待を含む複雑な過去を持つ
- 事件の真相は偶発的な事故であり、殺意はなかった
- 性的搾取、視線の暴力、負の連鎖など重いテーマを扱う
- 「ファーストラヴ」は初恋以外の多義的なタイトル
- 芳根京子の鬼気迫る演技が絶賛されている
- 映画版は原作から一部設定(子の有無など)が変更
- 高評価の一方で、演技や脚本には賛否両論がある
- 登場人物の心理描写が深く掘り下げられている
最後まで見ていただきありがとうございました。