
この記事でわかること
- 物語の基本的な設定とネタバレなしの展開概要
- 千鶴や響貴をはじめとする主要登場人物と彼らの関係性
- 物語の結末を含む詳細なあらすじと作品テーマの考察
- 作品の見どころや読者からの様々な感想・評価
「親友にわざと告白させて、振る―」
そんな衝撃的な計画から始まる、住野よる先生の最新作『告白撃』。30歳前後の大人たちを主役に、こじれた恋愛と友情、そして人生の選択が描かれます。
「結末は?」「登場人物の真意は?」そんな疑問に答えるべく、この記事ではネタバレあり/なしのあらすじ、鍵を握る登場人物(特に果凛)、見どころ、深い考察、賛否両論の感想、気になる文庫本情報まで徹底解説。

話題作『告白撃』のすべてを知りたい方は、ぜひ読み進めてください。
『告白撃』のあらすじ|物語の全体像
この章では次のことを取り上げ、『告白撃』についての基本的な情報を解説していきます。
- 告白撃の作品の基本情報
- 告白撃のあらすじ紹介|ネタバレなし
- 告白撃の主要登場人物の紹介
- 主要登場人物|協力者の果凛とは?
- 告白撃の見どころ・魅力とは?
告白撃の作品の基本情報
いよいよ週末、お休みの方もそうでない方もお疲れ様でした🌙やっと書店さんに行ける、という方も多いのではないでしょうか。
— 住野よるKADOKAWA刊行作品(『青くて痛くて脆い』『告白撃』)公式 (@kutekute0302) May 24, 2024
『告白撃』紹介ショート動画を作ってもらったので、よかったらご覧ください☺️#住野よる#告白撃 pic.twitter.com/6cJnUNg0zn
『告白撃』は、人気作家・住野よる先生によって執筆された長編小説です。まずこの作品がどのような位置づけにあるか解説します。
本作は『君の膵臓をたべたい』などで知られる住野よる先生の11作目にあたる作品です。KADOKAWAから2024年5月22日に単行本として刊行されました。
作品のジャンルと特徴
ジャンルとしては恋愛小説や文芸一般に分類されます。しかしこれまでの住野作品が、主に10代の若者を描いてきたのに対し、本作では主要登場人物が全員30歳前後という点が特徴といえるでしょう。

大人の恋愛や友情、そして人生の選択がテーマになっています。
住野先生は本作について「住野よる史上もっとも酒量の多い作品」ともコメントしており、大人ならではの人間模様が描かれていることがうかがえます。
なお装画は『青くて痛くて脆い』でもタッグを組んだ、ふすい氏が担当しています。
告白撃のあらすじ紹介|ネタバレなし

本作『告白撃』は、三十歳を目前に控えた女性・千鶴の、一風変わった決意から物語が始まります。
彼女は職場の同僚との婚約が決まりましたが、ひとつ気がかりな点がありました。それは大学時代からの親友である響貴が、長年自分に恋心を抱いているであろうということです。
千鶴は彼が過去の想いを引きずることなく、前へ進めるように願っています。そして自分の結婚式に複雑な気持ちで参加させないため、ある計画を立てるのです。
〈告白大作戦〉の開始
その計画とは、「響貴に自分への気持ちを告白させ、そしてきっぱりと断る」というものでした。到底大人のやることとは思えない大胆なアイデアですが、千鶴は響貴の未来を願って真剣に取り組もうとします。
学生時代からの共通の友人である果凛に協力を求め、〈告白大作戦〉が秘密裏に開始されます。しかし他の友人たちも、それぞれの思惑を抱えており、作戦は予想もしない方向へと展開していくのでした。

こじれてしまった大人の恋と友情が、繊細な筆致で描かれています。
告白撃の主要登場人物の紹介

『告白撃』の物語は、大学時代の同級生である男女6人の関係性を中心に展開していきます。彼らは三十歳を目前にしながらも、学生時代からの交流が続いている仲の良いグループです。
まず物語の核となる人物たちを紹介しましょう。
主人公・有永千鶴(ありなが ちずる)
主人公は有永千鶴という女性です。化粧品メーカーのマーケターとして働く彼女は、職場の後輩と婚約中。しかし親友・響貴への複雑な思いから〈告白大作戦〉を企てます。
親友・楢原響貴(ならはら ひびき)
楢原響貴は千鶴の親友であり、公認会計士として働く男性です。周囲からは千鶴に長年想いを寄せていると見られています。
しかし彼は非常にバランス感覚に長けた気遣いのできる人物で、本心を表に出さない面も持っています。
協力者・駒込果凛(こまごめ かりん)
千鶴・響貴のふたりの関係に深く関わるのが、駒込果凛です。彼は千鶴から作戦の協力を頼まれることになります。
個性豊かな友人たち
この3人に加え、他にも個性豊かな友人たちが登場します。イラストレーターの新村華生(にいむら かお、通称ハナオ)。お菓子メーカー勤務の兵頭舞(ひょうどう まい、通称まい たん)。
IT系ベンチャー企業に勤める年長者の大賀(たいが)。彼らはそれぞれの立場から物語に関わってきます。彼らの行動や思惑が、物語をより複雑で深みのあるものにしています。
登場人物名 | 役割 | 主要な動機・計画 | 他者との関係 |
有永 千鶴 (ちづる) | 主人公 | 婚約中。響貴に告白させ、振る計画(告白大作戦)を立てる | 響貴、果凛の親友。大学時代の友人グループの一員。 |
楢原 響貴 (ひびき) | 主要な友人・計画対象 | 千鶴に密かに想いを寄せているとされる。千鶴の計画及び、華生・舞の計画の対象 | 千鶴、果凛の親友。大学時代の友人グループの一員。 |
果凛 (かりん) | 協力する友人 | 千鶴の「告白大作戦」にためらいながら協力する | 千鶴、果凛の親友。大学時代の友人グループの一員。 |
新村 華生 (かお/ハナオ) | 友人 | (千鶴の計画/婚約を知らずに)千鶴と響貴を結びつけようとする | 大学時代の友人グループの一員。 |
兵頭 舞 (まい/マイタン) | 友人 | (千鶴の計画/婚約を知らずに)千鶴と響貴を結びつけようとする | 大学時代の友人グループの一員。 |
主要登場人物|協力者の果凛とは?

駒込果凛は、この物語において非常に重要な役割を担う人物です。彼は出版社に勤務する社会人であり、主人公・千鶴や響貴とは大学時代からの友人でもあります。

卒業後も千鶴、響貴とはオンラインゲームで一緒に遊ぶなど、親しい関係を続けています。
作戦への協力経緯
物語の序盤、果凛は千鶴から「響貴に告白させて、それを断りたい」という突拍子もない計画を打ち明けられ、協力を求められます。
最初は「なんだその最悪な作戦」と呆れ、一度は拒否するものの、千鶴の真剣な思いや響貴の状況を慮りました。そして最終的には〈告白大作戦〉に協力することを決意します。
ここから果凛は千鶴と共に、作戦の計画や実行に奔走することになるのです。
果凛の人物像
彼は比較的常識的な感覚を持っている人物として描かれています。しかし友人である千鶴や響貴のためには、少々無茶な提案に乗ることもあるようです。
読者レビューのなかには、果凛の行動に対して様々な意見も見られます。それは単なる「いい人」では終わらない、人間らしい複雑さや危うさも持ち合わせていることを示唆しているのかもしれません。

物語を読み進める上で、果凛の言動にも注目が集まるでしょう。
告白撃の見どころ・魅力とは?

『告白撃』には、読者を引きつける多くの見どころや魅力が存在します。
まず挙げられるのは、三十歳前後という大人になった登場人物たちが織りなす、複雑でリアルな人間関係の描写です。
彼らは社会人としての常識や分別を持ち合わせながらも、友情や恋愛においては不器用さや青臭さをのぞかせます。
特に親友のために、とんでもない〈告白大作戦〉を実行しようとする千鶴の姿は注目に値します。

一見突飛ながらも、千鶴なりの切実さや誠実さが感じられ、物語を追ううちに目が離せなくなるでしょう。
友人グループの魅力と会話
また大学時代からの友人グループという設定も、魅力のひとつとなっています。彼らの間で交わされる軽快でテンポの良い会話は、読んでいるだけで楽しくなるでしょう。
まるで自分もその輪のなかにいるかのような感覚を覚えるかもしれません。仲が良いからこその遠慮のないやり取りや、ときにすれ違ってしまう繊細な関係性が、共感を呼びます。
「選択」というテーマ
さらに住野よる作品に共通する「選択」というテーマが、本作では大人の視点から深く掘り下げられています。
「もしあの時、違う選択をしていたら」という普遍的な問いかけが、登場人物たちの葛藤を通して描かれます。

読者自身の人生経験と、重なる部分を見出すこともあるかもしれません。
賛否両論ある点
ただし主人公の行動原理や物語の結末については、共感する声がある一方で、受け入れがたいと感じる読者もいるようです。賛否両論ある点も本作の特徴といえるでしょう。
『告白撃』のあらすじ詳細と読者の声
物語の概要を掴んだところで、さらに深く『告白撃』を知りたい方へ。この章では次のことを取り上げます。
- ネタバレあらすじ・結末と徹底考察
- 読者の感想・レビューまとめ
- 書籍情報(単行本・文庫本)
ネタバレあらすじ・結末と徹底考察

ここからは『告白撃』の物語の核心、特に結末に関する重大なネタバレを含みます。まだ作品を読んでいない方はご注意ください。
〈告白大作戦〉の結末
〈告白大作戦〉と銘打たれた千鶴たちの計画は、様々な出来事を経て、当初の目的通りには進みませんでした。
友人たちの介入もありましたが、結局、響貴が千鶴に告白し、千鶴がそれを断るという形での決着はつかなかったのです。
そして千鶴は予定どおり、婚約者との結婚式を迎えることになります。
結婚式後のクライマックス
しかし物語のクライマックスは結婚式の後に訪れます。結婚式当日、響貴は千鶴の花嫁姿を目にします。そして彼女のスピーチを聞き、自身のなかにあった歪んだ感情に気づくことになります。
そのスピーチは、表向きは新郎や家族へ向けたものでしたが、響貴にはわかる形で特別なメッセージが込められていたのでした。
彼は千鶴が誰かと結ばれることではなく、むしろ彼女が傷ついたときに自分が慰めることで、自身の存在価値を見出そうとしていたことに気づきます。

自分の醜さに気づいた響貴は深く苦悩し、結婚式後しばらく友人たちとも距離を置くようになります。
響貴の告白と新たな一歩
一ヶ月後、自分自身と向き合い、千鶴への依存的な想いを断ち切る決意をした響貴は、引っ越しを控えた千鶴を訪ねます。
そこで彼は初めて自分の言葉で、「千鶴のことが好きだった」と過去形で告白しました。千鶴は静かに「うん、知ってた」と受け止めます。
響貴はこの告白を「人生で一番緊張した」といいます。しかし「いつか誰かに更新される」と続け、過去の恋に区切りをつけ、未来へ進む意志を示すのでした。
ふたりは友人としての関係性を確認し合い、それぞれの道を歩み出すことになります。
タイトルの意味と作品テーマ

タイトルの「告白撃」は、単なる告白「劇」ではないでしょう。「撃つ」という言葉が示すように、登場人物たちの心に深く「触れる」行為であったと考察できます。

千鶴のスピーチは響貴の心に触れ、響貴は自身の本当の気持ちに触れて告白に至ったのです。
安易に結ばれるのではなく、痛みを伴いながらも過去の選択を受け入れ、未来へ向かう登場人物たちの姿が描かれます。
これは住野よる作品らしい、切なくも前向きなメッセージを投げかけているといえるでしょう。響貴が最後に自分の足で立ち、新たな目標に向かおうとする姿に、救いを感じる読者も多いはずです。
読者の感想・レビューまとめ

『告白撃』を読んだ方々からは、実に様々な感想やレビューが寄せられています。
まず多くの読者が指摘しているのは、登場人物たちの複雑な心情と、大人ならではのこじれた恋愛・友情関係の描写です。
肯定的な意見
肯定的な意見としては、以下のような声が見られます。
「大学時代の友人グループの関係性がリアルでエモい」
「登場人物たちの会話のテンポが良く、読んでいて楽しい」
「切ないけれど、最後は前向きな気持ちになれた」
「大人になったからこその葛藤や選択が描かれていて共感した」…など
特に住野よる先生らしい繊細な心理描写や、響貴の最後の決断と成長を評価する声が多いようです。
書店員からも「究極の恋愛小説」「友情と恋が絶妙に配合された銃弾で胸を撃ち抜かれた」など、熱いコメントが寄せられています。
否定的な意見・戸惑いの声
一方で否定的な意見や、戸惑いの声も少なくありません。例えば、次のような感想も見受けられます。
「主人公・千鶴の『告白させて振る』という作戦が身勝手に感じられ、共感できなかった」
「設定や展開にやや無理があるように感じた」
「登場人物たちの行動が大人げなく、理解しにくい部分があった」
「『君の膵臓をたべたい』のような感動を期待すると物足りない」
千鶴の計画の是非や、物語全体の雰囲気については、読者によって好みが分かれるようです。
さまざまな評価
このように『告白撃』は手放しで絶賛されるだけでなく、様々な議論を呼ぶ作品といえるでしょう。
読む人自身の経験や価値観によって、登場人物への感情移入の度合いや物語の受け止め方が大きく変わるのかもしれません。
書籍情報(単行本・文庫本)
『告白撃』の書籍情報についてお伝えします。この作品は2024年5月22日にKADOKAWAから単行本として発売されました。
体裁は四六判セミハードカバーで、装画はイラストレーターのふすい氏が担当しています。全国の書店およびオンライン書店で購入可能です。
また単行本の発売と同時に電子書籍版の配信も開始されており、各電子書籍ストアで入手できます。ご自身の読書スタイルに合わせて選ぶことができるでしょう。
項目 | 詳細 |
タイトル | 告白撃 (こくはくげき) |
著者 | 住野よる (すみの よる) |
出版社 | KADOKAWA |
発売日 | 2024年5月22日 |
ISBN-13 | 978-4-04-114734-4 |
判型・製本 | 四六判変形、単行本(セミハードカバー) |
ページ数 | 304ページ |
定価(税込) | 1,650円 |
初出 | 書き下ろし |
装画(表紙) | ふすい |
文庫版発売は未定
文庫版に関してですが、2025年4月現在、文庫化の情報は発表されていません。
一般的に人気作品であっても、単行本の発売から文庫化までには数年程度の期間がかかるケースが多いようです。
そのため、現時点で『告白撃』を紙媒体で読みたい場合は、単行本を探すことになります。
最新の発売情報や文庫化の予定については、KADOKAWAの公式ウェブサイトなどで確認することをオススメします。
一目でわかる『告白撃』あらすじ総まとめ

『告白撃』は、30歳前後の大人たちのリアルな葛藤と、痛みを伴う「選択」、そして未来への一歩を描く物語。こじれた関係性の切なさと前向きなメッセージが胸を打ちます。
賛否両論含め、あなたの心に深く響くはず。ぜひご一読ください。それでは最後にポイントを箇条書きでまとめます。
- 住野よる著、KADOKAWAより2024年5月刊行の長編小説である
- 30歳前後の大人たちの恋愛と友情、人生の選択を描く物語
- 主人公千鶴が親友響貴に告白させ断る〈告白大作戦〉を計画する
- 大学時代の友人グループ6人の複雑な人間関係が中心となる
- 友人果凛は千鶴の作戦に協力するキーパーソンである
- 大人ならではのリアルな葛藤や繊細な会話劇が見どころである
- 結末では千鶴は結婚、響貴は告白を経て未来へ進む決意をする
- タイトル「告白撃」は心に触れる行為を象徴すると考察される
- 読者レビューでは登場人物の行動や結末に賛否両論ある
- 単行本と電子書籍で入手可能、文庫版は2025年4月時点で未定
それでは最後まで見ていただき、ありがとうございました。