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この記事でわかること
✓ ドラマの基本情報、主な登場人物、キャストの詳細
✓ 物語の始まりから衝撃的な結末までの全あらすじ
✓ 作品が名作と呼ばれる理由や、視聴者から指摘される問題点
✓ 主題歌の詳細や現在の視聴方法
1998年に社会現象を巻き起こしたドラマ『神様、もう少しだけ』。
HIV感染と援助交際という衝撃的なテーマを扱いながら、金城武さんと当時15歳の深田恭子さんが織りなす純愛は、多くの視聴者の涙を誘いました。
しかしその感動の裏で「設定がおかしい」「現実離れしている」という声が今なお上がるのも事実です。なぜこの作品は、矛盾を指摘されながらも不朽の名作として語り継がれるのでしょうか。
本記事では、最終回までのあらすじを徹底解説するとともに、なぜこの作品が名作と評されるのか、そして本当に『おかしい』のか、その真相に深く迫ります。
90年代の名作「神様、もう少しだけ」あらすじと基本情報
まずは本作の全体像を掴むために、以下の5つの基本情報から解説していきます。
- ドラマ『神様、もう少しだけ』基本情報
- 主な登場人物とキャスト・相関図
- これから観る人向けのあらすじ【ネタバレなし】
- 『神様、もう少しだけ』が名作ドラマである理由
- 主題歌はLUNA SEAの名曲「I FOR YOU」
ドラマ『神様、もう少しだけ』基本情報
衝撃的なテーマを描いた平成の名作
『神様、もう少しだけ』は、1998年7月7日から9月22日までフジテレビ系の「火曜9時」枠で放送された連続ドラマです。
当時としては衝撃的なHIV感染をテーマに、女子高生とカリスマ音楽プロデューサーの純愛を描いた作品で、社会現象を巻き起こしました。
驚異的な視聴率を記録
このドラマの人気の理由は、センセーショナルな題材を扱いながらも、登場人物たちの心の機微を丁寧に描いた点にあります。
初回の視聴率は18.2%でしたが、回を追うごとに支持を広げていきました。そして平均視聴率は22.5％、最終回では28.3％という驚異的な数字を記録しています。
豪華スタッフと高い作品評価
脚本は『大奥』シリーズなども手掛けた浅野妙子さんが担当し、LUNA SEAによる主題歌「I for You」もドラマの世界観を彩る名曲としてヒットしました。
作品としての評価も高く、第18回ザテレビジョンドラマアカデミー賞では最優秀作品賞を受賞しています。
以上のように、ただの恋愛ドラマに留まらないメッセージ性と完成度の高さが、平成を代表する名作として今なお語り継がれる理由でしょう。
主な登場人物とキャスト・相関図
『神様、もう少しだけ』は、豪華なキャスト陣が演じる登場人物たちの複雑な人間関係によって、物語に深みが与えられています。
主人公ふたりだけでなく、まわりを取り巻く人々の葛藤や愛情が丁寧に描かれている点も大きな魅力です。
ここでは物語を彩る主な登場人物と、演じたキャストをご紹介します。
物語を彩る主要キャラクター
石川 啓吾（いしかわ けいご） / 演：金城 武
かつて恋人を亡くし、心を閉ざしてしまったカリスマ音楽プロデューサーです。自暴自棄な日々を送っていましたが、純粋な真生と出会うことで、再び生きる意味を見出そうとします。
叶野 真生（かのう まさき） / 演：深田 恭子
啓吾の音楽を心の支えにしている、どこにでもいる明るい女子高生でした。しかし一度の過ちによってHIVに感染してしまい、過酷な運命に翻弄されることになります。
この作品は深田恭子さんの出世作となりました。
瀧村 カヲル（たきむら かをる） / 演：仲間 由紀恵
啓吾がプロデュースする人気歌手です。
亡くなった啓吾の元恋人の妹であり、自身も啓吾に長年想いを寄せていました。そのため真生に対して嫉妬心を抱き、ふたりの関係を複雑にしていきます。
日比野 イサム（ひびの いさむ） / 演：加藤 晴彦
真生の友人であり一番の理解者です。
真生がHIVに感染した後も変わらぬ友情で彼女を支え続ける、物語の良心ともいえる存在となります。
叶野 弥栄子（かのう やえこ） / 演：田中 好子
真生の母親です。
当初は家庭内に問題を抱えていましたが、娘の病気を知ってからは、深い愛情で真生を支える献身的な母親へと変わっていきます。
複雑に絡み合う人間関係
これらの登場人物の関係性を簡単にご説明します。
物語は啓吾と真生の純愛を中心に展開し、そこに啓吾へ想いを寄せるカヲルが恋敵として絡んできます。
一方でイサムは、友人として常に真生の味方であり続けました。そして真生の病気という現実を通して、一度は崩壊しかけた家族が再生していく様子も、このドラマの重要なテーマとなっています。
これから観る人向けのあらすじ【ネタバレなし】
生きる意味を見失った男と純粋な少女の出会い
ドラマ『神様、もう少しだけ』は、生きる意味を見失ったカリスマ音楽プロデューサーと、彼を熱烈に崇拝するひとりの女子高生が織りなす、切なくも激しい純愛の物語です。
一度の過ちと運命の夜
主人公の叶野真生（かのう まさき）は、代わり映えのしない日々に退屈するごく普通の女子高生。彼女の唯一の生きがいは、人気音楽プロデューサー・石川啓吾（いしかわ けいご）が作る音楽でした。
どうしても彼のコンサートに行きたい一心で、真生はチケット代を手に入れるために「一度だけ」という軽い気持ちで援助交際に手を出してしまいます。
コンサートの夜、真生は憧れの啓吾と運命的な出会いを果たし、ふたりの時間は動き始めます。この出会いをきっかけに、真生の退屈だった日常は輝き始めました。
しかし幸せな時間の裏で、彼女はHIVに感染しているという、あまりにも残酷な事実を突きつけられることになります。
愛と死の狭間で揺れるふたりの行方
愛する人と出会えた喜びと、死の影に脅かされる恐怖。相反する運命の中で、ふたりは真実の愛を見つけることができるのでしょうか。
ふたりが過酷な現実にどう立ち向かっていくのか、その行く末が見どころとなります。
『神様、もう少しだけ』が名作ドラマである理由
ドラマ『神様、もう少しだけ』が放送から25年以上経った今なお名作として語り継がれるのは、
- 衝撃的なテーマ性
- 俳優陣の魂のこもった演技
- 心に響く音楽
これらが見事に融合し、視聴者に強い感動と問題提起を与えたからです。
単なる恋愛ドラマの枠を超え、「生きること」や「愛すること」の本当の意味を問いかける力強いメッセージが、多くの人々の心を揺さぶりました。
名作と言われる具体的な理由は、以下の3つの要素が奇跡的なバランスで成り立っている点にあります。
理由① 時代を切り取った挑戦的なテーマ
第一に、1990年代後半の社会が抱える闇に真正面から切り込んだ、その挑戦的なテーマ性です。
当時、社会問題化していた「援助交際」と、誤解や偏見が根強かった「HIV感染」というふたつの重いテーマを、プライムタイムの恋愛ドラマで描くことは極めて異例でした。
ヒロインが直面する理不尽な差別や、家族の崩壊と再生を通して命の尊さを訴えかけます。
そしてドラマの最後には、HIVへの正しい理解を求めるテロップを流すなど、エンターテインメント性と社会性を両立させようとした制作陣の姿勢は画期的だったのです。
理由② キャスト陣の鮮烈な演技
第二に、主演ふたりをはじめとするキャスト陣の鮮烈な演技が挙げられます。
当時15歳だった深田恭子さんは、天真爛漫な少女が過酷な運命に翻弄されます。絶望と希望の間で揺れ動く様を全身全霊で表現し、視聴者に強烈な印象を残しました。
一方、アジアのスターであった金城武さんが演じる啓吾は、その独特の間と憂いを帯びた佇まいが魅力です。心を閉ざした大人の男性の孤独と再生を見事に体現しています。
脇を固める仲間由紀恵さんや田中好子さんら実力派の演技も、物語に一層の深みを与えました。
理由③ 物語を昇華させた音楽の力
そして最後に、物語を劇的に彩った音楽の力が欠かせません。
LUNA SEAが担当した主題歌「I for You」は、その切ないメロディでドラマの世界観を決定づけます。作品を象徴する一曲といるでしょう。
感動的なシーンで流れるこの曲は、視聴者の涙腺を刺激する装置としても完璧に機能していたのです。
これらの要素が一体となり、視聴者の記憶に深く刻まれる不朽の名作が誕生しました。
主題歌はLUNA SEAの名曲「I FOR YOU」
ドラマの世界観と完璧に共鳴する歌詞
『神様、もう少しだけ』を象徴する要素として、ロックバンドLUNA SEAが手掛けた主題歌「I for You」は欠かすことができません。
この楽曲の切ないメロディと歌詞が、ドラマの持つ過酷で純粋な世界観と完璧に共鳴し、視聴者の感情を大きく揺さぶりました。
1998年7月にリリースされたこの壮大なバラードは、物語のクライマックスや感動的なシーンで絶妙なタイミングで流れます。登場人物たちの心情を代弁するかのように響き渡りました。
「キミに降る痛みをすべて拭ってあげたい」といった歌詞は、主人公・啓吾が真生を想う気持ちと特に強くリンクしており、多くの視聴者の涙を誘っています。
社会現象となった楽曲の影響力
またドラマの爆発的なヒットは楽曲の人気にも火をつけ、「I for You」は売上48.9万枚を記録するヒットとなりました。
この曲をきっかけにLUNA SEAは同年のNHK紅白歌戦に初出場を果たしています。
さらに、劇中で仲間由紀恵さん演じる歌手が歌う挿入歌「in the sky」や「きらら」も、LUNA SEAのボーカルRYUICHI（河村隆一）さんが提供しました。作品全体が音楽と深く結びついています。
以上のように、「I for You」は単なる主題歌に留まらず、ドラマと一体となって感動を増幅させる重要な役割を担った名曲といえるでしょう。
「神様、もう少しだけ」あらすじを最終回まで徹底解説
※注意：ここから先は物語の重大なネタバレを含みます。未試聴の方はご注意ください。
ここからは物語の核心に触れるネタバレ情報を含みます。
以下の6つのポイントに沿って、物語の結末や作品にまつわる様々な謎を徹底的に解説します。
- 1話から最終回までの全あらすじ【ネタバレ】
- 結末と物語の真相【核心ネタバレ】
- 「おかしい」と言われる設定や展開は本当か？
- 『神様、もう少しだけ』は再放送されない理由
- 今すぐ『神様、もう少しだけ』を視聴する方法
- よくある質問（FAQ）
1話から最終回までの全あらすじ【ネタバレ】
ここでは衝撃の出会いから感動の結末まで、『神様、もう少しだけ』の物語の全貌を時系列に沿ってご紹介します。
序盤｜運命の出会いとHIV感染の発覚
物語はごく普通の女子高生・叶野真生が、憧れの音楽プロデューサー・石川啓吾のコンサートチケット代欲しさに、一度だけのつもりで援助交際に足を踏み入れるところから始まります。
その夜、真生は偶然にも啓吾本人と出会い、ふたりは一夜を共にしました。
運命的な出会いに心躍らせる真生でしたが、後日、援助交際が原因でHIVに感染しているという残酷な事実が発覚します。
死の恐怖と啓吾への想いの間で苦悩した真生は、やがて啓吾にすべてを告白しました。
心を閉ざしていた啓吾もまた、ひたむきな真生の姿に心を動かされ、ふたりの間には特別な絆が芽生え始めます。しかし真生は、学校でのいじめや家族との亀裂など、次々と困難に直面しました。
中盤｜社会の偏見と深まる愛
世間の偏見に屈せず、自分らしく生きることを決意した真生は、高校の終業式で全校生徒を前に自らがHIV感染者であることを公言します。
この勇気ある行動は、真生と関係のあった啓吾をも巻き込む大きなスキャンダルに発展してしまいました。
その結果、啓吾は音楽業界でのキャリアを失い、再起をかけてアメリカへ渡ることを決意します。
一度は真生を突き放す啓吾でしたが、本心では彼女を深く愛していました。
紆余曲折の末、ふたりは共にアメリカへ行く約束をします。しかし啓吾に想いを寄せるカヲルのついた嘘が原因ですれ違い、真生は空港へ行くことができず、ふたりは引き裂かれてしまいました。
終盤｜3年後の再会、そして命の輝き
3年の月日が流れ、インテリアコーディネーターを目指す真生と、アメリカで成功を収め一時帰国した啓吾は運命的な再会を果たします。
そこで初めてすれ違いの原因がカヲルの嘘であったことを知り、ふたりは失われた時間を取り戻すかのように、再び深く愛し合うようになりました。
命がけの選択と最後の輝き
しかし幸せな時間も束の間、真生はついにエイズを発症してしまいます。さらに、啓吾の子どもを妊娠していることも判明しました。
命の危険を伴う出産に周囲は反対しますが、真生は産むことを強く決意します。そして多くの困難を乗り越え、無事に女の子「幸（さち）」を出産しました。
退院後、家族や友人に囲まれて教会で結婚式を挙げ、幸せの絶頂にいたふたり。
しかし式の最中、ベビーベッドから落ちそうになった幸を助けようと駆け寄った真生は、その場で静かに息を引き取ります。
数年後、幸がHIVに感染していなかったことがわかり、啓吾がひとりで幸を育てながら、空の上の真生を想うシーンで物語は幕を閉じます。
結末と物語の真相【核心ネタバレ】
物語を最後まで観た多くの視聴者が抱く疑問や、物語の核心に迫る重要なポイントについて、ここでは3つの真相をより深く掘り下げて解説します。
真生のHIV感染経路と「エイズの男」の正体
真生がHIVに感染した直接の原因は、第1話で描かれた、たった一度の援助交際です。
憧れの音楽プロデューサー・啓吾のコンサートチケット代を手に入れるため、軽い気持ちで関係を持った男性からウイルスに感染してしまいました。
その相手は、永堀剛敏さんが演じた「野口孝明」という、風俗以外での女性経験がないごく普通の会社員でした。
物語の重要な点は、野口自身もHIVに感染している事実を知らずに真生と関係を持ったという悲劇の連鎖です。
後に真生は野口を探し出しますが、すでに病状が進行し、仕事を辞め孤独に暮らす彼の姿を目の当たりにします。
そこで真生は単純な憎しみではなく、同じ病気を背負う者としての複雑な感情を抱くことになり、物語に深みを与えています。
啓吾はHIVに感染したのか？
結論から言うと、物語を通して啓吾がHIVに感染することはありませんでした。
真生は自身が啓吾との最初の夜に、ウイルスを感染させてしまったのではないかと深く苦悩します。
エイズ撲滅キャンペーンのポスターを見て啓吾の身を案じ駆け出すシーンは、彼女の純粋な愛情を象徴していました。
しかし物語の序盤で、啓吾が受けた検査の結果は「陰性」であり、彼は感染を免れています。その後、ふたりは恋人として結ばれますが、最後まで啓吾が感染することはありません。
真生に寄り添い続けるという立場で物語は進行します。これは真生ひとりが過酷な運命を背負い、啓吾がそれを支えるという純愛の構図を際立たせるための設定といえるでしょう。
衝撃の最終回…真生が「なぜ死んだのか」という結末
最終回で亡くなるのは啓吾ではなく、ヒロインの真生です。彼女の死は突然の出来事のように描かれますが、その背景にはエイズ発症後の出産による、身体への極度の負担がありました。
幸せの絶頂であるべき啓吾との結婚式の最中、娘の幸（さち）がベビーベッドから転落しそうになります。
真生はウエディングドレス姿のまま「幸！」と叫びながら娘のもとへ駆け寄り助けました。
それが最後の力を振り絞った行動となり、啓吾に抱きかかえられたまま力尽きるように静かに息を引き取ります。
免疫力が著しく低下した状態で命がけの出産を乗り越えた彼女の体力は、すでに限界に達していたのです。
この悲劇的な結末は、彼女が最後まで母親として生き抜いた証しとして描かれています。
そして真生の死の直後、幸のHIV検査が陰性であったという吉報が届くという、あまりにも切ない結末を迎えることになります。
「おかしい」と言われる設定や展開は本当か？
『神様、もう少しだけ』は多くの視聴者を感動させた一方、放送当時から現在に至るまで、一部の設定や展開が「おかしい」「現実的ではない」と指摘されることがあります。
これは主にHIVに関する医学的な描写や、物語を劇的に見せるための恋愛表現に、現実との乖離が見られるためです。
指摘① HIVに関する医学的な描写
特に多く指摘されるのが、HIVに関する描写です。
物語の中盤以降、HIV陽性者である真生と陰性の啓吾が、避妊をせずに愛し合い、最終的に妊娠に至る展開があります。これは1998年当時の医療水準を考慮しても極めてリスクの高い行為でした。
啓吾が「全部受け止めてやる」と覚悟を示すシーンは、感動的に描かれています。
しかしふたりの純愛を、強調するためのドラマ的な演出であり、現実の過酷さから目を背けているという厳しい意見も見られます。
指摘② 主人公たちの不自然な行動
また主人公たちの行動や、心理描写の不自然さを指摘する声も少なくありません。
例えば、スキャンダル後に啓吾が真生を「迷惑だ」と突き放す場面。
あるいは病状が不安定な真生を、危険に晒すような行動を取る場面に対しては、「啓吾の行動が結果的に真生の命を縮めている」という見方も存在します。
指摘③ ドラマチックすぎる結末
最終回の真生の最期も、突然死に近い形で描かれており、「実際のAIDS患者の経過とは異なるのでは」という意見も見られます。
これも悲劇性を高めるためのフィクションとしての脚色と考えられます。
フィクションとしての魅力と現実の乖離
ただしこれらの点は、本作がドキュメンタリーではなく、あくまで「命と愛」という普遍的なテーマを描いた究極の「純愛メロドラマ」であることを考慮する必要があります。
限られた命の時間の中で愛を貫き、新しい命を未来へ繋ぐというテーマを劇的に描くため、あえて現実を脚色したと考えることもできるでしょう。
こうした矛盾や非現実的な部分も含めて議論を呼ぶ点こそが、この作品が人々の記憶に強く残り続ける一因なのかもしれません。
『神様、もう少しだけ』は再放送されない理由
『神様、もう少しだけ』は現在、地上波で再放送される機会がほとんどありません。
理由はこのドラマが扱う衝撃的なテーマと描写が、現代の放送倫理やコンプライアンスの基準に抵触する可能性が高いためです。
放送当時は社会現象となりましたが、時代の変化とともに、過去の作品であってもそのまま放送することが難しくなっています。
再放送が困難である具体的な理由は、主に以下の3点に集約されます。
理由① コンプライアンス上問題となる「援助交際」の描写
まずコンプライアンス上、もっとも問題視されるのが「援助交際」の具体的な描写です。
物語の発端として、主人公の女子高生・真生がテレホンクラブを介して見知らぬ男性と会います。そして金銭を得るために、性行為に至る過程が描かれていました。
これは単なる設定に留まらず、物語の根幹をなすため編集でカットすることもできません。
未成年者の性を商品として扱うこの描写は、青少年に与える影響への懸念やスポンサーへの配慮から、現在の地上波放送ではまず許可が下りないと考えられます。
理由② デリケートなテーマ「HIV」の扱い
次にHIVという病気の扱いも、現代の視点から見ると非常にデリケートな問題を含みます。
例えば、HIV陽性者と陰性者の性行為において、感染予防策が十分に描かれていない点。これは病気に対する、誤った認識を広めかねないという指摘があります。
作品には「キスでは感染しない」というメッセージを込めた有名なシーンもありますが、全体としては現代の医療リテラシーや人権意識にそぐわないと判断される可能性があるのです。
理由③ 主演キャストのイメージ保護
最後にこれらの過激なテーマを、当時15歳の深田恭子さんが演じているという事実も無視できないでしょう。
国民的女優となった彼女のキャリアを考慮し、事務所がイメージ保護の観点から再放送に慎重になっている可能性も否定できません。
以上の理由から、作品が持つ強いメッセージ性が、皮肉にも時代の変化とともに地上波での再放送を阻む高いハードルとなっているのです。
今すぐ『神様、もう少しだけ』を視聴する方法
前述のとおり、地上波での再放送が難しい『神様、もう少しだけ』ですが、現在、いくつかの方法で全話を視聴することが可能です。
ご自身の視聴スタイルに合わせて最適な方法を選ぶことができます。
動画配信サービスで視聴する
もっとも手軽な方法は、フジテレビ公式の動画配信サービス「FODプレミアム」を利用することです。
2025年9月現在、NetflixやHuluといった他の主要な動画配信サービスでは取り扱いがありません。『神様、もう少しだけ』を全話見放題で視聴できるのはFODプレミアムが中心となります。
またAmazonプライム会員であれば、追加で「FODチャンネル for Prime Video」に登録することでも視聴が可能です。
普段からPrime Videoを利用している方には便利な選択肢といえるでしょう。
DVD-BOXを購入して手元に置く
手元に作品を残しておきたい場合は、DVD-BOXを購入する方法があります。オンラインストアなどで現在も販売されており、高画質でいつでも好きな時に見返せるのが大きなメリットです。
視聴する際の注意点
動画配信サービスの月額料金や配信状況は変更されることがあります。登録前には必ず公式サイトで最新の情報を確認することをおすすめします。
よくある質問（FAQ）
『神様、もう少しだけ』に関して、多くの人が抱く疑問点についてお答えします。
Q1:漫画『NANA』にも登場するって本当？
結論から言うと、ドラマ『神様、もう少しだけ』が漫画『NANA』に直接登場したり、公式なコラボレーションをしたりといった事実はありません。
ただ両作品ともに、1990年代後半から2000年代の音楽業界を舞台にしています。
そのためカリスマ的なミュージシャンと、彼に惹かれる純粋な少女といった登場人物の設定や物語の雰囲気に、一部のファンが類似性を感じることがあるようです。
しかしこれらはあくまで個人の感想の範囲であり、公式な関連性は確認されていません。
Q2:当時の深田恭子は何歳？
ヒロインの叶野真生を演じた深田恭子さんは、ドラマが放送された1998年当時、15歳でした。
学年でいうと高校1年生にあたり、本格的なドラマのヒロイン役はこれが初めてです。
デビューからまだ間もない時期であったにもかかわらず、HIVに感染するという非常に繊細で難しい役柄を体当たりで演じきったことが、大きな話題を呼びました。
本作品が深田恭子さんの出世作として知られています。
Q3:「神様、もう少しだけ」の視聴率は？
本作は非常に高い視聴率を記録したことでも知られています。平均視聴率は22.5％、そして物語の結末に注目が集まった最終回の視聴率は28.3％に達しました（ビデオリサーチ調べ、関東地区）。
特筆すべきは、初回視聴率の18.2%からスタートし、物語が進むにつれて着実に視聴者を増やしていった点です。
これは口コミなどで評判が広がり、社会現象ともいえるほどの大きな注目を集めていた証拠といえるでしょう。
Q4:ロケ地はどこ？
撮影は主に東京都内の様々な場所で行われ、今でもその面影を見ることができる場所がいくつかあります。
例えば、啓吾と真生が待ち合わせをした印象的な並木道は「神宮外苑のイチョウ並木」です。
また最終回でふたりが結婚式を挙げた教会は、東京都北区にある「カトリック赤羽教会」が使用されました。
他にも、物語の中で重要なシーンの背景として、隅田川にかかる「中央大橋」などが登場します。
名作ドラマ「神様、もう少しだけ」のあらすじと要点の総括
賛否両論を巻き起こした衝撃的な設定。しかしその根底に流れるのは、限られた時間の中で愛を貫き、懸命に生き抜くことの尊さです。
このドラマが問いかける「生きること」の意味を、ぜひ本編で確かめてみてください。それでは最後にポイントを箇条書きでまとめます。
- 1998年に放送された、HIV感染をテーマにした衝撃的な純愛物語である
- 女子高生・叶野真生と音楽プロデューサー・石川啓吾の切ない恋を描く
- 主演は金城武と、当時15歳だった深田恭子がつとめた
- 真生は一度の援助交際でHIVに感染してしまう
- 絶望の中で憧れの啓吾と出会い、ふたりは運命的に惹かれ合う
- 物語はHIVへの偏見や家族との葛藤もリアルに描写する
- 仲間由紀恵や加藤晴彦など、脇を固めるキャストも豪華である
- 平均視聴率22.5%、最終回28.3%という驚異的な数字を記録した
- LUNA SEAが手掛けた主題歌「I for You」も大ヒットした
- 一度はすれ違うが、3年の時を経てふたりは再会し愛を確かめ合う
- 真生はエイズを発症後、命がけで啓吾の子どもを出産する
- 最終回、結婚式の最中に娘をかばい、真生は静かに息を引き取った
- 現代の放送倫理から、地上波での再放送は極めて困難とされる
- 視聴はFODプレミアムなどの動画配信サービスが中心である
- 命と愛の尊さを問いかける、平成を代表する不朽の名作として語り継がれる
最後までご覧いただきありがとうございました。コンテンツライターのヨミトがお届けしました。（プロフィールはこちら）