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この記事でわかること
✓ 作品の基本的な設定と、ネタバレを含まない物語の全体像
✓ 4つのエピソードごとの詳しい結末を含む、ネタバレありのあらすじ
✓ 原作小説と映画版での登場人物や結末の具体的な違い
✓ 作品に対する賛否両論の評価と、物語の謎に関する深い考察
「4回泣ける」と絶賛される一方で、「設定がひどい」という厳しい声も聞かれる映画『コーヒーが冷めないうちに』。なぜ、これほどまでに評価が分かれるのでしょうか。
この記事では、そんな賛否両論の理由を徹底的に解説します。
物語のあらすじはもちろん、原作との違いや多くの人が涙した感動のポイント、そしてなぜ批判的な感想が生まれるのか、その謎に迫ります。

これから観る方もすでに観た方も、作品をより深く理解するための一助となれば幸いです。
※ 本記事では中盤以降に多くのネタバレが含まれます。未読・未試聴の方はご注意ください。
「コーヒーが冷めないうちに」のあらすじと基本情報
物語の核心に触れる前にまずは作品の全体像を掴むため、以下の4つのポイントを順番にご紹介します。
- 『コーヒーが冷めないうちに』とは?基本情報
- これから読む・観る方向けのあらすじ【ネタバレなし】
- 主な登場人物と相関図|映画版のキャストも
- 「感動して泣ける」という感想と「ひどい」と言われる理由
『コーヒーが冷めないうちに』とは?基本情報
舞台脚本から生まれた小説
『コーヒーが冷めないうちに』は、川口俊和さんによる小説作品です。不思議な喫茶店を舞台に、過去に戻る人々の姿を描いたファンタジー要素のある人間ドラマとして知られています。
本作品はもともと演劇の舞台脚本として誕生しました。
2010年に初演された舞台が評判を呼び、編集者の目に留まったことがきっかけで2015年に小説化されました。そのため少し珍しい経緯をもつ作品です。
世界的なベストセラーへ
小説は「4回泣ける」というキャッチコピーと共に口コミで人気が広がりました。そして2017年の本屋大賞にノミネートされるなど、大きな話題となりました。
国内だけでなく海外でも高く評価されており、多くの言語に翻訳され世界的なベストセラーになっています。
さらに2018年には、有村架純さん主演で映画化もされました。小説・映画ともに多くの人に親しまれている作品です。
これから読む・観る方向けのあらすじ【ネタバレなし】

過去に戻れる喫茶店の都市伝説
『コーヒーが冷めないうちに』の舞台は、とある街の路地裏にひっそりと佇む喫茶店「フニクリフニクラ」です。

この店には、「ある席に座ると、望んだ時間に戻れる」という不思議な都市伝説があります。
ただし過去に戻るためには、いくつもの切ないルールが存在します。例えば、「コーヒーが冷めるまでの短い間しかいられない」「何をしても現実は変わらない」といったものです。
それでも「もしも、あの時に戻れたら…」という後悔を抱えた人々が、今日もこの喫茶店を訪れます。
後悔を抱えた人々が紡ぐ物語
物語ではさまざまな事情を持つ登場人物たちが現れます。
恋人との別れを悔やむ女性、記憶をなくしていく夫とその妻、そして疎遠になってしまった姉妹などです。
各人物は過去を変えられないと知りながらも、大切な人にもう一度会うために、不思議な席に座ることを選びます。
これは一杯のコーヒーが冷めるまでの短い時間に起こる、心温まる奇跡の物語です。
過去と向き合うことで、登場人物たちの心がどのように変化し、未来へと繋がっていくのかが描かれています。
主な登場人物と相関図|映画版のキャストも
『コーヒーが冷めないうちに』には、喫茶店「フニクリフニクラ」を訪れる人々を中心に、魅力的な登場人物が多数描かれています。ここでは物語の主要な人物とその関係性、そして映画版のキャストを紹介します。
【喫茶「フニクリフニクラ」の主な人々】
■ 時田 流(ときた ながれ)/演:深水元基
数の叔父で、「フニクリフニクラ」のマスターを務めています。口数は少ないですが、数や常連客を温かく見守る存在です。
【各エピソードの登場人物】
第一話「恋人」
■清川二美子(きよかわ ふみこ)/演:波瑠
恋人との別れを後悔しているキャリアウーマン。プライドの高さから素直になれず、過去に戻ることを決意します。
■賀田多五郎(かただ ごろう)/演:林遣都
二美子の幼馴染であり、恋人。夢のためにアメリカへ渡ることを告げ、二美子とすれ違ってしまいます。
第二話「夫婦」
■ 高竹佳代(こうたけ かよ)/演:薬師丸ひろ子
若年性アルツハイマーを患い、夫の記憶を少しずつ失っていく女性です。
■ 房木康徳(ふさぎ やすのり)/演:松重豊
佳代の夫。妻の記憶がなくなる前に、彼女の本当の想いを受け取るため過去に戻ります。
第三話「姉妹」
■ 平井八絵子(ひらい やえこ)/演:吉田羊
実家の旅館を継がずに家出し、スナックを経営する女性。妹との間に確執を抱えています。
■ 平井久美(ひらい くみ)/演:松本若菜
姉に代わって実家の旅館を継いだ妹。姉に会うため、たびたび喫茶店を訪れます。
第四話「親子」
■ 時田 数(ときた かず)/演:有村架純
物語の中心人物。母が幽霊になったことに罪悪感を抱え、自身の幸せに臆病になっています。
■ 時田 要(ときた かなめ)/演:石田ゆり子
数の母親。過去に戻れる席に座り続ける幽霊(白いワンピースの女)です。
■ 新谷亮介(しんたに りょうすけ)/演:伊藤健太郎
映画版のオリジナルキャラクター。数の過去を知り、彼女を支えようとする大学生です。
【原作小説のみの重要人物】
■ 時田 計(ときた けい)
原作小説における重要な登場人物で、マスターである流の妻。心臓に持病を抱えながら妊娠し、原作の第四話「親子」の中心となります。
「感動して泣ける」という感想と「ひどい」と言われる理由

『コーヒーが冷めないうちに』は、多くの人から「感動した」「何度も泣いた」と高く評価されています。
その一方で「ひどい」「つまらない」といった厳しい意見も存在する、賛否両論のある作品です。
ここではそれぞれの感想が生まれる理由を、より深く掘り下げて解説しましょう。
「感動して泣ける」と評価されるポイント
多くの人が感動を覚えるのは、この物語が描くテーマの普遍性にあります。
恋人、夫婦、姉妹、親子といった、誰にとっても身近な人間関係。その中で生まれる「もし、あの時に戻れたら」という切実な後悔や愛情が、物語の核となっています。

多くの読者や視聴者が、登場人物の姿に自身の経験を重ね合わせ、強く感情移入ができるのです。
具体的には、若年性アルツハイマーによって記憶を失っていく妻と、それでも変わらぬ愛を伝えようとする夫の姿を描いた「夫婦」のエピソード。
そして自分のせいで母が幽霊になったと信じ込む娘と、その母の真実の愛情が明らかになる「親子」のエピソードは、特に涙を誘うと評判です。
過去を変えるのではなく、心を変える物語
また「過去は変えられなくても、自分の心は変えられる」という一貫したメッセージが、物語全体に希望を与えています。これは単なるタイムスリップの物語ではありません。
過去と向き合うことで登場人物たちが心の整理をつけ、未来へ向かって新たな一歩を踏み出すための物語なのです。
だからこそ心温まる読後感や視聴後感が残り、明日を生きる小さな勇気をもらえるのかもしれません。
映画版では、松重豊さんや薬師丸ひろ子さんといった実力派俳優たちの繊細な演技も、感動をより一層深める大きな要因となっています。
「ひどい」と評価されるポイント
一方で本作品を批判的に見る意見も少なくありません。その主な理由として、物語の根幹であるタイムスリップのルールに論理的な矛盾やご都合主義を感じる点が挙げられます。
例えば、「現実は変わらない」という絶対的なルールがあります。それにもかかわらず、過去で受け取った手紙が現在に存在しているなど、物理的な変化が起きている描写があるのです。
このような設定の曖昧さが、物語への没入感を妨げ、冷めてしまう原因になることがあるようです。
加えて、一部の登場人物の行動原理が十分に描かれていないため、感情移入が難しいという指摘もあります。
なぜそこまで頑なに妹を避けるのか、なぜ急に心変わりしたのか。そういった心理描写が浅いと感じる人にとっては、物語が薄っぺらく見えてしまうのかもしれません。
「感動の押しつけ」と感じる過剰な演出
さらに映画の宣伝文句である「4回泣けます」という言葉。これや、感動的な場面で流れる音楽といった演出が過剰で、感動を強制されているように感じてしまうという声も聞かれます。

泣かせようとする意図が見えすぎてしまい、かえって白けてしまったという感想も少なくありません。
このように、心温まる人間ドラマとして純粋に物語を受け入れるか。あるいは、設定の矛盾や演出の細かな点に違和感を覚えてしまうか。それによって、作品の評価が大きく分かれているといえるでしょう。
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「コーヒーが冷めないうちに」のあらすじをネタバレ考察
※ この章では核心部分を含む多くのネタバレがあります。未読・未試聴の方はご注意ください。

ここからは物語の核心に迫るネタバレ解説です。以下の構成で、作品をより深く読み解いていきます。
4つの物語のあらすじと結末を解説【ネタバレあり】
- 幽霊の正体と母親が消えた理由【ネタバレ徹底考察】
- 原作小説と映画の違いは?どっちから見るのがおすすめ?
- 続編はある?シリーズ作品一覧と読む順番
- 『コーヒーが冷めないうちに』はどこで読める?観られる?
4つの物語のあらすじと結末を解説【ネタバレあり】
『コーヒーが冷めないうちに』は、4つの独立した物語で構成されています。
それぞれのエピソードは、喫茶店「フニクリフニクラ」を訪れる人々の後悔と愛情を描いており、物語全体を通して繋がっていきます。ここでは各話のあらすじと結末を詳しく解説します。
第一話「恋人」
キャリアウーマンの清川二美子は、幼馴染の賀田多五郎から突然アメリカへ行くと告げられます。プライドが邪魔をして本音を言えず、喧嘩別れしてしまうのです。
後悔した二美子は、別れを告げられた1週間前に戻ることを決意します。
しかし過去に戻っても素直になれず、再び気まずい空気が流れてしまいます。それでも最後に「相談してほしかった」と本音のかけらを伝えます。
すると五郎もまた、今まで隠していた想いを打ち明けてくれました。それは顔の火傷の痕がコンプレックスで、二美子に引け目を感じていたというものでした。
現実に戻った二美子は、過去は変えられなくても未来は自分で変えられると気づき、五郎を追ってアメリカへ行くことを決意するのでした。
第二話「夫婦」
看護師の房木康徳は、若年性アルツハイマーを患い、自分のことすら忘れてしまった妻・佳代を献身的に介護しています。
ある日、房木は佳代が自分をまだ夫として認識していた頃に戻り、彼女が渡しそびれたという手紙を受け取ることにします。
過去で受け取った手紙。そこにはたとえ記憶を失っても、患者と看護師としてではなく、最後まで「夫婦」として一緒にいたいという、佳代の深い愛情が綴られていました。
その想いを知った房木は、これからは夫として彼女と向き合っていくことを改めて決意します。そして記憶のない佳代に、「僕はあなたの夫です」と優しく語りかけるのです。
第三話「姉妹」
平井八絵子は実家の旅館を妹の久美に任せて家を飛び出し、スナックを経営していました。後ろめたさから、会いにくる久美を避け続けていた矢先、久美は交通事故で亡くなってしまいます。
八絵子は、最後に会わずに帰してしまった日に戻り、久美と再会します。そこで八絵子は、久美が自分を恨んでいるという思い込みが間違いだったと気づきます。
久美の本当の夢は「姉と一緒に旅館を経営すること」だったと知るのです。
現実は変わらず久美の死は覆りません。しかし妹の本当の想いに触れた八絵子は、彼女との約束を果たすため、実家に戻り旅館を継ぐことを決心します。
第四話「親子」(映画版)
喫茶店で働く時田数(かず)は、母・要(かなめ)が幽霊になったのは自分のせいだと長年思い込み、幸せになることを恐れていました。
しかし恋人の計らいで過去の母に再会し、ついに真実を知ります。
病で余命わずかだった母。彼女は遺される娘が将来幸せになる姿を一目見ようと時間移動を試みました。その結果、戻れなくなってしまったのです。それは娘を深く愛するがゆえの行動でした。
母の本当の想いを知り、罪悪感から解放された数が現在に戻ります。すると娘の幸せを確信して安心したかのように、母の幽霊は席から姿を消していました。
過去の痛みから解き放たれた数は、新しい家族との未来へ歩み出すことを決意するのでした。
幽霊の正体と母親が消えた理由【ネタバレ徹底考察】

物語の核心に迫る謎、特に「白いワンピースの女」の正体や物語の結末については、多くの読者や視聴者が考察を深めています。
ここではよくある疑問点についてネタバレを含みながら、より深く掘り下げて徹底的に解説していきます。
Q1. 席に座っている幽霊の正体は誰?
喫茶店の特定の席にいつも座っている「白いワンピースの女」。その幽霊の正体は、物語の主人公のひとりである時田数(ときた かず)の母親、時田要(ときた かなめ)です。
要がなぜ幽霊になってしまったのかというと、タイムスリップのルールを破ってしまったからです。要は過去(映画版では未来)へ時間移動しました。
その際に、コーヒーが冷めきる前に飲み干すことができず、現在の時間に戻れなくなってしまったのです。その結果、時間に取り残され、幽霊としてあの席に座り続けることになりました。
この事実は物語が進むにつれて明らかになる重要な謎のひとつです。
特に続編小説『この嘘がばれないうちに』や、映画版のクライマックスで、数の過去と深く関わる形で描かれています。
母親、要の存在は単なる喫茶店の都市伝説ではなく、数の心に深く刻まれた「過去」そのものを象徴しているといえるでしょう。
Q2. なぜ最後、お母さん(要)はいないの?消えた理由は?
映画のラストで、それまでずっと席に座っていた母・要の幽霊が姿を消します。これは彼女がこの世に留まっていた理由、つまり心残りが解消されたためと考えられるでしょう。
要の最大の心残りは、病気で余命わずかな自分が亡くなった後、ひとり残される娘・数のことでした。
娘が幸せに生きていけるのかを深く心配していました。その様子を一目見るために未来へタイムスリップしたのが、幽霊になってしまった直接の原因です。

つまり母・要が幽霊としてあの席に座り続けていたのは、娘の未来を案じる母の愛情の表れでもあったのです。
娘の幸せを確認できた瞬間
物語の終盤で、成長した数が過去の母に会いに行きます。そこで要は、数が優しいパートナーと結ばれて新しい命を授かり、幸せな未来を歩んでいくことを知るのです。
娘の幸せをその目で確認できたことで、母としての最大の心配事がなくなり、安心して成仏することができたのです。
娘の幸せな未来を見届けたこと。それが彼女が幽霊としてその場に留まる理由をなくし、安らかに解放された理由だといえます。
Q3. (映画版)未来から来たミキはどうやって過去に来たの?
映画版のクライマックスで、未来から数の娘・ミキがやってくる場面。これは少し複雑ですが、恋人である新谷亮介が立てた壮大な計画によるものです。
まず問題となったのは、母に会いたい数自身が、自分のために過去へ行くコーヒーを淹れられないというルールでした。この問題を解決するために、新谷は次のような時間差の計画を実行します。
十数年がかりの壮大な計画
まず現在の時間軸で、数と新谷の間に娘・ミキが生まれます。
数と新谷はミキを育て、中学生になった頃、数はミキに「時間を移動させるコーヒーの淹れ方」を教えます。
そして未来の数(母親になった数)が、娘のミキにコーヒーを淹れ、過去、つまり「ミキが生まれる前の時間」へと送り出します。
過去へやってきたミキが、まだ妊娠中の若い頃の数にコーヒーを淹れます。これにより数は、無事に母親の要に会いに行くことができたのです。
以上のように未来の娘に助けてもらうという、十数年の歳月をかけたタイムスリップ計画。これによってミキは過去にやってくることができました。
これは物語の中でも特に巧妙に、仕掛けられた奇跡といえるでしょう。数の心を救いたいという新谷の深い愛情が、この不可能に思える計画を実現させたのです。
原作小説と映画の違いは?どっちから見るのがおすすめ?

『コーヒーが冷めないうちに』は、原作小説と映画で登場人物や物語の結末に大きな違いがあります。そのため、どちらから楽しむかによって作品の印象が変わることがあるでしょう。
登場人物と結末の大きな違い
まずもっとも大きな違いとして、登場人物の設定が挙げられます。
原作小説では、喫茶店のマスター・流の妻である「時田計」という女性が物語の重要な役割を担います。
特に第四話「親子」は、計が中心となって感動的な結末を迎えます。
一方、映画版ではこの「時田計」は登場しません。その代わりに、映画オリジナルキャラクターとして大学生の「新谷亮介」が登場。
主人公・数との恋愛模様や、彼女の過去を解き明かす上で中心的な役割を果たします。
この変更に伴い、物語のクライマックスも全く異なります。原作が未来へ向かう話であるのに対し、映画は過去へ遡ることで物語の核心に迫る構成です。
メディアの違いを反映したルールの変更
タイムスリップのルールには、原作と映画版のメディアの違いを反映した重要な変更点があります。
舞台劇から生まれた原作小説では、「過去に戻っても、席を立って移動することはできない」というルールが設けられています。
これは舞台上で場面を変えずに物語を進めるという、演劇ならではの制約を巧みに活かした設定です。
一方の映画版では、このルールが「喫茶店から出られない」へと変更されました。これにより登場人物が店内を自由に動けるようになりました。
映像作品としてより動きのある演出や、登場人物同士の豊かな交流を描くことが可能になっています。
他にも、「夫婦」のエピソードでは、原作と映画で夫と妻の立場が逆になっているなど、細かな相違点が見られます。
どちらから楽しむべきか
どちらから見るのがおすすめかについては、一概には言えませんが、それぞれにメリットがあります。
もし物語の細やかな心理描写や、オリジナルの世界観を深く味わいたいのであれば、原作小説から読むことをおすすめします。
登場人物たちの背景が丁寧に描かれているため、より深く物語に没入できるでしょう。
一方で、まずは気軽に物語の世界に触れたいという方や、映像作品として楽しみたい方には映画から観るのが良いかもしれません。
ストーリーがより主人公・数に焦点を当てて再構成されています。そのため感情移入しやすく、視覚的な演出と共に感動を味わうことができるでしょう。
その後で原作を読めば、映画では描かれなかったエピソードや人物像を知り、二度楽しむことができるでしょう。
表|原作と映画における登場人物と物語の主な相違点
エピソード | 原作小説版 | 映画版 |
第二話「夫婦」 | 夫・房木康徳がアルツハイマー病を患う。妻・高竹佳代が過去に戻り、夫からの手紙を受け取る。 | 妻・高竹佳代(演:薬師丸ひろ子)がアルツハイマー病を患う。夫・房木康徳(演:松重豊)が過去に戻り、妻に会う。 |
第四話「親子」 | 主人公はマスターの妻・時田計。心臓病を抱え、出産後の生存が危ぶまれる中、成長した娘に会うため未来へ向かう。 | 主人公は時田数(演:有村架純)。母・時田要(演:石田ゆり子)が幽霊になった理由を知るため過去へ向かう。 |
主要な追加登場人物 | なし | 新谷亮介(演:伊藤健太郎)。数の恋人となる映画オリジナルキャラクター。 |
続編はある? シリーズ作品一覧と読む順番

『コーヒーが冷めないうちに』は大変な人気を博し、続編が次々と発表されているシリーズ作品です。
物語の舞台となる喫茶店や登場人物の一部が引き継がれています。そのため、読む順番を知っておくと、より深く楽しむことができるでしょう。
シリーズ作品を読む順番
読む順番は基本的に本の刊行順をおすすめします。
各作品は一話完結の短編集として楽しめます。しかし物語全体としては時間が流れており、登場人物たちのその後の人生や関係性の変化が描かれているのです。
2024年現在、シリーズは以下の順番で刊行されています。
『コーヒーが冷めないうちに』(2015年刊行)
すべての始まりとなる物語となっています。
『この嘘がばれないうちに』(2017年刊行)
第1作から7年後の喫茶店が舞台。登場人物たちの成長した姿が描かれます。
『思い出が消えないうちに』(2018年刊行)
舞台は北海道・函館の喫茶店に移りますが、世界観は繋がっています。第2作からさらに7年後の物語が描かれます。
『さよならも言えないうちに』(2021年刊行)
物語の時系列は第1作の翌年に戻る構成です。
『やさしさを忘れぬうちに』(2023年刊行)
こちらは第1作の2年後の話が描かれています。
『愛しさに気づくまえに』(2024年刊行)
シリーズ最新作となります。
「コーヒー」シリーズ|刊行順と時系列の比較
刊行順 | 書籍名と刊行年 | 作中での時系列 |
1作目 | 『コーヒーが冷めないうちに』(2015年) | 基準時点 |
2作目 | 『この嘘がばれないうちに』(2017年) | 基準時点の7年後 |
3作目 | 『思い出が消えないうちに』(2018年) | 基準時点の十数年後 |
4作目 | 『さよならも言えないうちに』(2021年) | 基準時点の1年後 |
5作目 | 『やさしさを忘れぬうちに』(2023年) | 基準時点の2年後 |
6作目 | 『愛しさに気づくまえに』(2024年) | – |
以上のように、物語の中の時間は必ずしも刊行順に進むわけではありません。特に4作目と5作目は、時系列が少し遡る形になっています。
それでもなお刊行順に読むことをおすすめします。作者が物語を提示した順番で読み進めることで、徐々に明らかになる謎や登場人物たちの背景をもっとも自然に受け止められるからです。

まずは第1作、『コーヒーが冷めないうちに』から手に取ってみてください。
『コーヒーが冷めないうちに』はどこで読める?観られる?

『コーヒーが冷めないうちに』の物語に触れたいと思ったとき、小説と映画、どちらも多くの方法で楽しむことが可能です。ここでは、原作小説を読む方法と、映画を視聴する方法をそれぞれ紹介します。
原作小説を読むには
小説シリーズは、全国の書店やオンラインストアで広く取り扱われています。紙の書籍はもちろん、電子書籍や「聴く読書」であるオーディオブックとしても楽しむことが可能です。
書店・オンラインストア
Amazonや楽天ブックスといった主要なオンラインストアで、新品・中古問わず手軽に購入できます。もちろん、お近くの書店でも見つけることができるでしょう。
電子書籍
Kindleや楽天Koboなどの電子書籍ストアでも配信されているため、スマートフォンやタブレット、専用リーダーですぐに読み始めることが可能です。
オーディオブック
Audible(オーディブル)などのサービスを利用すれば、プロのナレーターによる朗読で物語を聴くことができます。移動中や家事をしながら楽しみたい方におすすめです。
映画を観るには
2018年に公開された映画版は、多くの動画配信サービス(VOD)で視聴できます。見放題プランの対象になっているサービスも多く、気軽に鑑賞できるでしょう。
見放題サービス
U-NEXTやAmazonプライム・ビデオ、DMM TVなど、多くのサービスで見放題作品として配信されています。これらのサービスに加入していれば、追加料金なしでの視聴が可能です。
レンタルサービス
月額プランに加入していなくても、Rakuten TVやTSUTAYA DISCAS(宅配レンタル)などで、作品ごとにレンタルして視聴する方法もあります。
ただし動画配信サービスでの配信状況は時期によって変更されることがあります。
視聴する前には、利用したいサービスの公式サイトで最新の配信情報を確認することをおすすめします。
『コーヒーが冷めないうちに』のあらすじとポイントを総まとめ

『コーヒーが冷めないうちに』は、過去を変えるのではなく、過去と向き合うことで自分の心を変え、未来へと歩み出す物語です。
作品には設定上の矛盾点なども指摘されていますが、それ以上に登場人物たちの人間ドラマが多くの人々の心を打ちました。
それでは最後にポイントを箇条書きでまとめます。
- 舞台脚本を原作としたファンタジー人間ドラマである
- 小説化され、世界的なベストセラーとなった
- 2018年には有村架純主演で映画化もされている
- 舞台は過去に戻れると噂の喫茶店「フニクリフニクラ」
- 時間移動には「現実は変わらない」など複数の厳しいルールが存在する
- 後悔を抱えた人々が過去と向き合う4つの物語で構成される
- 一杯のコーヒーが冷めるまでの短い時間だけ過去にいられる
- 過去は変えられなくても人の心は変わるというテーマを持つ
- 不思議なコーヒーを淹れることができる時田数が物語の中心
- 席に座り続ける幽霊の正体は、数の母親である時田要
- 娘の幸せな未来を確信した母の幽霊は、最後に姿を消す
- 映画版では大学生の新谷亮介がオリジナルキャラクターとして登場する
- 原作と映画では「親子」の物語の結末が大きく異なる
- 「感動する」という評価と「設定がひどい」と評される賛否両論の作品
- 『この嘘がばれないうちに』など、続編シリーズも多数刊行されている
最後までご覧いただきありがとうございました。コンテンツライターのヨミトがお届けしました。(プロフィールはこちら)