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この記事でわかること
✓ 物語の始まりから悲劇的な結末までの全貌
✓ 物語を動かす主要な登場人物たちの役割と関係性
✓ 作品に込められた人種差別や生と死といった深いテーマ
✓ 感動とトラウマが共存する作品の魅力と注意点
映画『グリーンマイル』は、なぜこれほどまでに人の心を掴み、そして時に深い傷跡を残すのでしょうか。
「涙なしでは観られない不朽の名作」として語り継がれる一方で、「トラウマになるほど衝撃的」という声も後を絶ちません。
この物語は単なる感動的なドラマなのでしょうか、それとも人間の残酷さを突きつける寓話なのでしょうか。
本記事では、「グリーンマイル」のあらすじをまだ知らない方から、物語の深層を理解したい方まで、全ての読者に向けて徹底解説します。
登場人物たちの複雑な関係性、物語に隠された深いテーマ、そして「トラウマ」と評されるシーンの真相まで。

本記事を読めば、その涙と衝撃の理由がすべてわかります。
※ 本記事には、物語の結末を含む重大なネタバレが含まれていますので、未試聴の方はご注意ください。
映画『グリーンマイル』のあらすじをネタバレありで解説
まずは物語の全体像を掴むために、基本的な情報からネタバレなしのあらすじ、そして物語の核心に触れる結末までを順番に解説していきます。以下の項目に沿ってご紹介します。
- 映画『グリーンマイル』とは?作品の基本情報
- これから観る人向けのあらすじ【ネタバレなし】
- 主な登場人物と相関図|聖人コーフィと最悪パーシー
- 結末までの詳細なあらすじ【ネタバレあり】
- タイトルの意味は?作中の謎を解説
映画『グリーンマイル』とは?作品の基本情報
不朽の名作の概要
『グリーンマイル』は、スティーヴン・キングの小説を原作とした、心揺さぶるヒューマンドラマです。
監督・脚本は『ショーシャンクの空に』でも知られるフランク・ダラボンが務めました。
主演は名優トム・ハンクスが担当しており、公開当時から大きな注目を集めました。

物語のジャンルは単なるドラマにとどまらず、ファンタジーの要素も含んでいるのが特徴です。
死刑囚監房という重いテーマを扱いながらも、不思議な出来事を通して人間の善悪や命の尊厳を問いかけます。
その感動的なストーリーは世界中で高く評価され、アカデミー賞の作品賞を含む4部門にノミネートされました。
鑑賞のポイント
これから鑑賞する際の注意点として、上映時間が188分(3時間超)と非常に長いことが挙げられます。
しかし丁寧に描かれる人間模様と巧みなストーリー展開により、長さを感じさせないと評判です。時間に余裕を持って、物語の世界にじっくりと浸ることをお勧めします。
項目 | 内容 |
公開年 | 1999年(日本公開は2000年) |
監督・脚本 | フランク・ダラボン |
原作 | スティーヴン・キング |
主演 | トム・ハンクス |
上映時間 | 188分 |
これから観る人向けのあらすじ【ネタバレなし】

看守ポールの苦悩
物語は老人ホームで暮らす、ポール・エッジコムという男性の回想から静かに始まります。彼が若い頃に体験した、忘れられない出来事が語られていくのです。
舞台は1935年、大恐慌時代のアメリカ南部にある刑務所でした。ポールは死刑囚たちが電気椅子へと向かう最後の通路、通称「グリーンマイル」で看守主任を務めていました。
彼の仕事は、死刑囚たちの最期を穏やかに見届けることです。しかし自身の尿路感染症の痛みや、コネ入社の横暴な新人看守パーシーの存在が、彼の日々を悩ませていました。
謎に満ちた死刑囚の登場
そんなある日、ひとりの死刑囚がグリーンマイルへ送られてきます。
彼の名はジョン・コーフィ。幼い姉妹を殺害した罪に問われた、身長2メートルを超える大男です。その風貌から誰もが凶悪犯だと警戒しましたが、彼の言動は子どものように純粋でした。

コーフィは暗闇を怖がるなど、罪状とはかけ離れた印象を与えます。
ポールはコーフィと接するうちに、彼が持つ不思議な力に気づき始めます。果たして、この心優しい大男は本当に残虐な罪を犯したのでしょうか。
そして彼がもたらす奇跡が、看守たちの運命を大きく変えていくことになります。
※ 本作を視聴する方法はコチラの欄でお伝えしています。
主な登場人物と相関図|聖人コーフィと最悪パーシー
『グリーンマイル』の物語の深みと感動は、登場人物たちが織りなす複雑な人間関係から生まれます。
なかでも純粋な魂を持つジョン・コーフィと、歪んだ心を持つ看守パーシーという、まさに光と影のようなふたりの存在が物語を大きく動かしていきます。
ここでは彼らを含めた主要な登場人物たちの役割と、関係性をより詳しく見ていきましょう。
【看守たち】
ポール・エッジコム(演:トム・ハンクス)
物語の主人公であり、私たちの視点となる人物です。
死刑囚棟の看守主任として、法と職務に忠実であろうと努める一方で、人間的な良心も持ち合わせています。
コーフィの奇跡を目の当たりにしたことで、法を守る立場と一個人の正義感との間で激しく心が引き裂かれていく、彼の葛藤が物語の中心となります。
パーシー・ウェットモア(演:ダグ・ハッチソン)
物語における「人間の卑劣さ」を一身に背負ったキャラクターです。州知事の親戚という立場を悪用し、傲慢で残忍な振る舞いを繰り返します。
彼は強大な悪ではなく、臆病さゆえに弱い者を虐げる小物的な存在として描かれています。
そのリアルな不快感が観る者に強烈な印象を与え、彼の軽率で悪意に満ちた行動が数々の悲劇を引き起こします。
ブルータス・ハウエル(演:デヴィッド・モース)
ポールの親友であり、彼の良心を支える頼れる副主任。その大きな体格とは裏腹に、非常に心優しく正義感にあふれています。
殺伐とした刑務所という環境の中で、彼の存在はポールにとって、そして観客にとっても大きな救いとなっています。
【死刑囚たち】
ジョン・コーフィ(演:マイケル・クラーク・ダンカン)
物語の鍵を握る神聖な存在です。
幼い姉妹を殺害した罪で収監されますが、その心は子どものように純真無垢です。触れるだけであらゆるものを癒す「奇跡の力」を持ちます。
しかしその力ゆえに、他人の悪意や苦痛を絶えず感じてしまうという、計り知れない苦しみを背負っていました。
エデュアール・ドラクロア(通称:デル)
一匹のネズミ「Mr.ジングルス」を心から愛し、芸を教え込む心優しい死刑囚。
彼の存在は罪を犯した人間の中にも残る善性や、ささやかな希望を象徴しています。
しかしその純粋さゆえにパーシーの残忍な標的となり、物語でもっとも悲惨な運命を辿ることになります。
ウィリアム・ウォートン(通称:ワイルド・ビル)
看守たちを挑発し、予測不能な行動で周囲を混乱させる、純粋な悪意の塊のような死刑囚です。
パーシーとはまった異なる種類の「悪」を体現しています。そして、物語のミステリー部分の真相を解き明かす上で、重要な役割を果たします。
結末までの詳細なあらすじ【ネタバレあり】
※ ここからは物語の核心に触れる結末までのあらすじを、3つの重要な場面に分けて詳しく解説します。まだ映画を観ていない方は、この先の閲覧にご注意ください。

明かされる罪の真相と真犯人
物語が大きく動くのは、看守たちがジョン・コーフィの力を借り、重い病に苦しむ刑務所長の妻を救おうと決意した夜のことです。
コーフィを秘密裏に刑務所の外へ連れ出す際、彼は凶悪犯のウィリアム・ウォートンに腕を掴まれてしまいます。
その瞬間、コーフィは自身の力によって、ウォートンが犯した忌まわしい罪の光景を見てしまいました。
所長の妻を無事に癒した後、コーフィは吸い取った「病」を体内に留めたまま刑務所へ戻ります。
コーフィが下した神の裁き
そして日頃から囚人を虐待していた看守パーシーの口へ、その「病」を移しました。するとパーシーは意識が朦朧とした状態でウォートンの独房へ向かい、彼を射殺するのです。
その後、コーフィは看守のポールに手を触れ、自身が見た映像を伝えます。
そこにはコーフィが罪に問われた少女殺害事件の犯人が、まぎれもなくウォートンであったという衝撃の真実が映し出されていました。
パーシーが引き起こした残虐な処刑(乾いたスポンジ)
この物語でもっとも衝撃的で、観る者に強烈な印象を残すのが、死刑囚デルの処刑シーンです。
この処刑の指揮を執ることになった新人看守パーシーは、日頃から目の敵にしていたデルに対し、最後の最後でもっとも残忍な嫌がらせを行いました。
電気椅子による処刑では、死刑囚の頭に水で濡らしたスポンジを乗せます。これは電気を効率良く通すことで、苦痛を最小限に抑え速やかに死に至らしめるための手順です。
しかしパーシーはスポンジを濡らすふりをしただけで、乾いたままデルの頭に乗せたのです。
悪意が生んだ想像を絶する苦しみ
その結果、電気は正常に通らず、デルは即死することができませんでした。彼は生きたまま体が内側から焼け焦げていくという、想像を絶する苦しみの中で絶叫し続けます。
処刑場は煙と異臭に包まれ、見学していた遺族たちも悲鳴を上げるほどの地獄絵図と化しました。このあまりのむごさに、他の看守たちは為す術もなく立ち尽くすしかありませんでした。
涙なしでは見られない悲劇的な結末
コーフィの無実を知ったポールたち看守は、どうにか彼を救えないかと苦悩します。しかし彼の無実を法的に証明する手段はなく、死刑執行の日は刻一刻と迫っていました。
ポールはコーフィに脱獄を勧めますが、彼は静かにそれを断るのです。
コーフィは、その不思議な力ゆえに、世界中の人々の悪意や苦しみを常に感じ取っていました。彼はその苦痛に満ちた人生に疲れ果てており、死を安らかな解放として自ら望んだのでした。
最後の願いとして、人生で一度も観たことがなかった映画『トップ・ハット』を鑑賞します。
そしてコーフィは、看守たちに見守られながら、静かに電気椅子へ向かいました。「生まれたことを謝ります」という言葉を残し、彼の処刑は執行されます。
コーフィが遺した奇跡と罰
物語は現代に戻り、老いたポールが語り終えます。
彼はコーフィから分け与えられた力によって、108歳という異常な長寿を生きていました。
しかしそれは祝福ではなく、愛する人々すべての死を見届けなければならない、孤独で終わりのない罰だったのです。
ポールのあまりにも長い人生―それこそが、彼の「グリーンマイル」であることが示唆され、物語は静かに幕を下ろします。
タイトルの意味は? 作中の謎を解説

死刑囚が歩む「緑の通路」
『グリーンマイル』というタイトルには、直接的な意味と、より深い象徴的な意味のふたつが込められています。
まず直接的な意味ですが、これは物語の舞台であるコールド・マウンテン刑務所の死刑囚棟にある通路の通称です。
処刑場である電気椅子へと続くこの通路は、床が色あせた緑のリノリウム張りでした。そこから看守たちの間で、「グリーンマイル」と呼ばれていました。

死刑囚にとって、グリーンマイルの通路を歩くことは自らの死に向かう最後の道のりを意味します。
人生そのものを象徴する言葉
そしてこの映画のタイトルは、単なる通路の名前以上の、象徴的な意味合いを持っています。
物語の終盤、主人公のポールは自らの長い人生を振り返ります。そして「ときに私のグリーンマイルは、あまりにも長く感じられるのです」と語ります。
ここでの「グリーンマイル」は、避けられない死に向かって歩む「人生そのもの」の比喩として使われているのです。
つまり人は、誰もが自分自身のグリーンマイルを歩いている、というメッセージが込められています。
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『グリーンマイル』あらすじから見る深い考察と感想

物語のあらすじを理解した上で、次はこの作品がなぜこれほどまでに語り継がれるのか、その深いテーマ性や謎について掘り下げていきましょう。以下のポイントで詳しく考察していきます。
- 考察①ジョン・コーフィの正体とは?
- 考察②「差別」と「偏見」の恐ろしさ
- 考察③「生と死」そして「永遠の命」という罰
- 『グリーンマイル』は実話なのかを解説
- 原作小説と映画版の違いとは
- 視聴者の感想・評価まとめ「トラウマ」になる?
- 『グリーンマイル』を観る方法|配信・DVD情報
考察① ジョン・コーフィの正体とは?
キリストとの共通点
ジョン・コーフィの正体は、作中で直接語られることはありません。しかし彼の持つ不思議な力や言動を丹念に見ていくと、彼が単なる人間ではないことが強く示唆されます。
この世の罪を背負うために遣わされた「神の使い」、あるいは「キリスト」になぞらえた存在であると考察できます。
この考察を裏付ける点は主に4つ挙げられます。
1つ目は、彼の名前「John Coffey」のイニシャルが「J.C.」であること。これはイエス・キリスト(Jesus Christ)と一致し、彼が特別な役割を担う存在であることを暗示しています。
2つ目は、触れるだけで病や死をも癒す「奇跡の力」です。ポールの尿路感染症を治し、ネズミを生き返らせる姿は、聖書に描かれるキリストの奇跡と重なります。
3つ目は他者の苦しみを自らの体内に吸い込む姿。これは人々の罪を一身に背負った、キリストの受難を象徴していると考えられます。
苦しみを背負う神聖な存在
そして4つ目は、無実の罪で死刑を受け入れることです。

コーフィの力は、他者の悪意や憎しみを強制的に感じ取ってしまう呪いでもありました。
「頭の中にガラスの破片が刺さってるみたいなんだ」と彼は語ります。この言葉はコーフィの日常が、私たちには想像もできないほどの精神的な苦痛、まさにトラウマに満ちていることを物語っています。
これほどの力と優しさを持つコーフィが、死を唯一の安らぎとして望んだからです。
死だけが救いだった悲劇
無垢な存在が自ら死を選ぶしかないという現実は、観る者に深い無力感と悲しみを与えます。だからこそ、コーフィの存在は観る者の心に深く突き刺さるのです。
私たちは神聖で純粋な魂が、人間の愚かさによっていかに無慈悲に踏みにじられるかを目撃します。その理不尽さに一種のトラウマを覚えるのかもしれません。
考察② 「差別」と「偏見」の恐ろしさ

見た目で判断される悲劇
『グリーンマイル』は、見た目や人種といった偏見がいかに簡単に真実を覆い隠し、取り返しのつかない悲劇を生むかを描いています。
物語の舞台は1930年代のアメリカ南部であり、当時は人種差別が根強く残っていました。このため、登場人物たちの行動や判断には、その時代の空気が色濃く反映されています。

ジョン・コーフィは、巨体と黒人であるというだけで、犯人だと決めつけられてしまいます。
コーフィの純粋な心や優しい性格は、恐ろしい「殺人鬼」という先入観の前では無意味でした。
幼い姉妹の遺体を抱きしめ、「元に戻そうとした」と泣き叫んでいたにもかかわらず、人々はその行動を善意とは捉えませんでした。
むしろ異常な光景が、彼の有罪を決定づけるかのように扱われてしまうのです。
社会に根付く差別の構造
またコーフィの弁護士でさえも、黒人に対する差別的な考えを持っていました。そのため公正な弁護が行われなかったことが示唆されています。
以上のようにこの物語は、個人の悪意だけを問題にしているのではありません。
社会全体に根付いた「偏見」というシステムが、いかに無力なひとりの人間を追い詰めていくかを静かに、しかし力強く告発しているのです。
考察③「生と死」そして「永遠の命」という罰

苦しみからの解放としての「死」
映画「グリーンマイル」は、「死」を単なる終わりではなく救いとして描いています。
逆に「生き続けること」を罰として描くことで、生と死の意味を深く問いかけています。

物語の中心には死を望むジョン・コーフィと、長寿という運命を背負わされたポールの姿があります。
ジョン・コーフィにとって、生きることは絶え間ない苦痛でした。彼はその特殊な能力によって、世界中の人々の悪意や憎しみを敏感に感じ取ってしまいます。
「頭の中にガラスの破片が刺さっているようだ」と語る彼にとって、死は苦しみからの解放であり、自ら選んだ安らぎだったのです。
孤独という罰としての「生」
一方でポールは、コーフィの力の一部を受け取ったことで、108歳という常識を超えた長寿を得ます。
これは一見すると奇跡のように思えるかもしれません。しかし彼は愛する妻や友人、すべての知人が先に亡くなっていく姿を、ただ見送り続けなければなりませんでした。
終わりの見えない孤独と喪失感。それこそが神の奇跡であるジョン・コーフィを処刑してしまったことへの「罰」であり、ポールのあまりにも長い「グリーンマイル」となったのです。
『グリーンマイル』は実話なのかを解説

スティーヴン・キングによる創作物語
この物語が実話なのかという疑問についてですが、『グリーンマイル』は実話に基づいた作品ではありません。
これは「ホラーの帝王」として知られる作家スティーヴン・キングが創造した、完全なフィクションの物語です。
物語の核となるジョン・コーフィの力は、特にこの作品が創作であることを明確に示しています。

病や死さえも癒してしまう超自然的な力は、現実にはありえない要素でしょう。
史実を映し出すリアルな時代背景
ただ多くの人が、「実話かもしれない」と感じてしまうのには、説得力のある理由が存在します。
なぜなら物語の背景となる時代設定や社会状況が、歴史的な事実に基づいて非常にリアルに描かれているからです。
舞台となっている1930年代のアメリカ南部は、世界恐慌による貧困と、根深い人種差別が社会を覆っていた時代でした。

作中で描かれる理不尽さは、当時の社会では決して珍しいことではなかったのです。
黒人であるというだけで、十分な弁護も受けられずに犯人だと決めつけられてしまうことは実際にありました。また電気椅子による死刑制度も、現実に存在したものです。
物語を彷彿とさせる実在の事件
実際に、この物語で描かれるような悲劇を彷彿とさせる、痛ましい事件も過去に起きています。
そのひとつに、1944年に14歳で処刑された黒人少年、ジョージ・スティニーの事件があります。彼もまた、白人少女2人を殺害したという罪に問われました。
しかしその裁判は非常に不当なものだったとされ、70年後の2014年にようやく無罪が言い渡されました。
以上のように、『グリーンマイル』の物語そのものはフィクションです。しかしその根底には、当時のアメリカ社会が抱えていた差別や不正義といった、紛れもない現実が色濃く反映されています。
だからこそ、この物語は単なるファンタジーに留まらず、観る者の心に強く、そして重く響くのです。
原作小説と映画版の違いとは
映画化に伴う主な変更点
映画『グリーンマイル』は、スティーヴン・キングの原作小説に非常に忠実に作られています。しかし映画という表現形式に合わせて、いくつかの点で変更が加えられています。
主な違いとしては、物語の時代設定、一部のキャラクターの詳細、そして省略されたエピソードなどが挙げられます。
これらは3時間という上映時間に物語を収めるための工夫といえるでしょう。
例えば、物語の舞台は原作では1932年ですが、映画では1935年に変更されています。これは作中で重要な役割を果たす、映画『トップ・ハット』が1935年に公開された作品であるためです。
また原作では各登場人物の背景がより詳細に描かれています。看守ポールの妻が後に事故で亡くなるエピソードや、他の囚人たちの犯した罪の詳細などは、映画では描かれていません。
原作でより深く描かれる要素
特に、死刑囚デルが処刑される場面は、原作の方がより凄惨で衝撃的に描写されています。文章だからこそ伝わる恐ろしさがあります。
そして物語の結末にも違いが見られます。映画ではネズミのMr.ジングルスが最後まで生きています。
しかし原作では彼が亡くなったことが、ポールが物語を書き記すきっかけのひとつとなるのです。
視聴者の感想・評価まとめ「トラウマ」になる?

多くの人が涙する感動の側面
『グリーンマイル』は多くの人に愛される感動の名作です。
しかし一方で、「トラウマになった」という声が絶えない作品でもあります。鑑賞を考えている方は、心に強く残る衝撃的な描写が含まれていることを、あらかじめ知っておく必要があるかもしれません。
感動したという意見の多くは、ジョン・コーフィの純粋な魂に向けられています。また看守ポールとの間に芽生える友情も、感動を呼びます。
無実でありながら自らの運命を受け入れるコーフィの姿や、彼を救おうと苦悩する看守たちの姿に、人間の善性や命の尊さを見出し、深く心を揺さぶられるようです。
心に深く刻まれる衝撃的な描写
一方で「トラウマ」という感想の原因のほとんどは、電気椅子による処刑シーンに集中しています。
特に死刑囚デルが迎える最期は、単なる処刑ではありません。新人看守パーシーの個人的な恨みと悪意によって、意図的に失敗させられたものです。
濡らされていないスポンジのせいで、デルは即死できず、生きたまま焼かれるという凄惨な苦しみを長時間味わうことになります。
その叫び声や、煙が立ち上る様子は目を背けたくなるほどです。多くの視聴者がこの場面の残酷さに強い衝撃を受けています。

もうひとつの要因は看守パーシーというキャラクターが放つ、胸が悪くなるほどの不快感です。
パーシーは強大な悪役というより、権力を笠に着て弱い者いじめを楽しむ、陰湿で卑劣な人物として描かれています。
彼がデルの指を折ったり、大切にしていたネズミを踏み潰したりする場面は、その残忍な性格を際立たせます。そして観る人に強いストレスを与えます。
このリアルで小物的な悪意が、物語全体に重くのしかかり、後味の悪さを残す一因となっています。
感動とトラウマは表裏一体
以上のように、本作は感動的な人間ドラマであると同時に、人間の残酷さや制度の恐ろしさを容赦なく描き出しています。
これらの強烈な描写は、ジョン・コーフィの純粋さや看守たちの良心を際立たせる効果があります。その分、視聴者の心に深い傷跡を残す可能性も秘めているのです。
感動とトラウマは、この作品において表裏一体の関係にあるといえるでしょう。
『グリーンマイル』を観る方法|配信・DVD情報

『グリーンマイル』は、公開から年月が経った現在でも、様々な方法で鑑賞することが可能です。ここでは主な視聴方法についてご紹介します。(2025年9月時点の情報です)
動画配信サービス
手軽に視聴したい場合は、動画配信サービスが便利です。例えば「U-NEXT」では見放題作品として配信されており、31日間の無料トライアル期間を利用して視聴することもできます。
また「Amazon Prime Video」や、「TELASA」などでは、レンタルまたは購入という形で鑑賞が可能です。
ただし配信状況は時期によって変動することがあります。過去に配信があったサービスでも現在は視聴できない場合があるため、注意が必要です。
ご覧になる前には、各サービスの公式サイトで最新の情報を確認することをお勧めします。
DVD・Blu-ray
高画質・高音質でじっくりと作品を味わいたい方や、特典映像を楽しみたい方には、DVDやBlu-rayが適しています。
各種オンラインストアや家電量販店などで購入できるほか、TSUTAYA DISCASのような宅配レンタルサービスを利用する方法もあります。
手元に作品を残しておきたい場合や、配信サービスに加入していない場合には、こちらの方法が良いでしょう。
『グリーンマイル』あらすじとポイントの総まとめ

『グリーンマイル』は、単なる感動譚ではありません。人間の善と悪、そして社会に潜む理不尽さを描き、私たちに命の尊厳を問いかけます。
衝撃的な描写は、物語が放つ希望の光をより一層際立たせるのです。観る者の心に深く刻まれる、まさに人生で一度は観ておきたい不朽の名作といえるでしょう。
最後にポイントを箇条書きでまとめます。
- スティーヴン・キング原作、トム・ハンクス主演の感動ヒューマンドラマである
- 舞台は1935年の死刑囚監房、通称「グリーンマイル」
- 主人公は死刑囚棟で看守主任を務めるポール・エッジコム
- 物語の中心は、不思議な力を持つ死刑囚ジョン・コーフィとの交流
- コーフィは幼い姉妹を殺害したとされる無実の罪で収監された大男
- 看守パーシーはコネを使い、囚人を虐待する卑劣な存在
- コーフィはポールの病気やネズミの命を癒す奇跡を起こす
- 衝撃的な描写として、パーシーが悪意から残虐な処刑を行うシーンがある
- 少女殺害事件の真犯人は、別に収監されていた凶悪犯だと判明する
- コーフィは世界の苦しみに疲れ果て、自ら死刑を受け入れることを選ぶ
- ポールはコーフィの力を受け継ぎ、愛する人を見送り続ける罰のような長寿を背負う
- タイトルは死刑囚が歩む「緑の通路」と、避けられない死へ向かう「人生」を象徴
- 人種差別、死刑制度、生と死の意味といった重いテーマを扱う
- 物語は実話ではなくフィクションだが、当時の社会問題を色濃く反映している
- 深い感動を呼ぶ一方、一部のシーンはトラウマ的との感想も多い
最後までご覧いただきありがとうございました。映画コンテンツライターのヨミトがお届けしました。(プロフィールはこちら)