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この記事でわかること
✓ 映画の主人公が宮城リョータであり、彼の過去と山王工業戦の結末までの物語
✓ 原作とは異なり「痛みからの再生」という新たなテーマで物語が再構築されていること
✓ 主人公の変更や名シーンのカットなど、原作からの大胆な変更点とそれに伴う賛否両論の評価
✓ CGと手描きが融合した映像や無音演出といった、作品の圧倒的な魅力と見どころ
26年半のときを経て、スクリーンに帰ってきた『THE FIRST SLAM DUNK』。興行収入158億円を超える熱狂の裏で、公開直後には様々な声が上がりました。
「なぜ主人公が桜木花道じゃない?」
「あの名シーンがないのはどうして?」
「一部で『ひどい』とまで言われる理由は?」
もしあなたが少しでも同じ疑問を感じたなら、この記事はあなたのためのものです。
本作は単なる原作のなぞり直しではありません。原作者・井上雄彦監督が「今、描きたかった物語」であり、そこにはまったく新しい感動の構造が隠されています。
ここではネタバレありの詳しいあらすじはもちろん、主人公変更の真相や原作との決定的な違い、賛否両論の理由まで、あなたの抱えるすべての疑問に答えます。

本記事を読み終えたとき、『THE FIRST SLAM DUNK』のすべてが、一本の線として繋がるはずです。
映画『THE FIRST SLAM DUNK』のあらすじと作品概要
26年半の時を経て、原作者・井上雄彦監督自らの手によって生み出された本作。公開されるやいなや、絶賛と戸惑いの両方の声が上がる大きな話題作となりました。
この章では次の構成順にて、「THE FIRST SLAM DUNK」を徹底的に解説しmす。
- 映画の簡単なあらすじと見どころ
- 登場人物と新キャスト(声優)
- あらすじをラストの結末まで解説【ネタバレ】
- 原作漫画と映画の決定的違い
- 『THE FIRST SLAM DUNK』の魅力と考察
映画の簡単なあらすじと見どころ
映画「THE FIRST SLAM DUNK」は、湘北高校の司令塔であるポイントガード、宮城リョータを新たな主人公としています。

リョータの視点から、インターハイ3連覇中の絶対王者・山王工業高校との伝説の試合を描いた物語です。
原作の主人公・桜木花道の成長物語とは異なり、本作ではこれまで深く語られなかったリョータの生い立ちが描かれます。亡き兄ソータとの過去、家族との葛藤に焦点が当てられています。
なぜなら、彼の内面の「痛み」とそれを乗り越えようとする成長が、山王戦の熱い展開にまったく新しい深みと感動を与えているからです。
主な見どころは3つ
具体的には、以下の3点が見どころとなります。
圧倒的な映像美と臨場感
1つ目は、まるで自分がコートに立っているかのような圧倒的な映像美です。CGと手描きが融合し、選手の息遣いやバッシュのきしむ音までがリアルに再現されています。
相手エースに一瞬で抜き去られる瞬間の視点など、これまでにないカメラワークで試合の迫力を、特に体感できるでしょう。
初めて明かされる宮城リョータの物語
2つ目は、初めて明かされる宮城リョータの物語です。
沖縄での幼少期、兄を失った喪失感、そしてリョウタとの心のすれ違いが丁寧に描かれます。この過去があるからこそ、試合中の彼のプレイひとつひとつに深い意味と説得力が生まれるのです。
原作ファンさえも驚く物語の新鮮さ
3つ目は、原作ファンさえも驚く物語の新鮮さでしょう。知っているはずの山王戦が、リョータの視点をとおすことで新たな角度から映し出されます。

三井の執念や赤木の重圧といった仲間たちの姿も、まったく違う物語として楽しめます。
原作未読の方は注意点も
ただし本作は、インターハイに至るまでの経緯や湘北メンバーがどういう選手なのか、といった詳しい説明がほとんどないまま試合が始まります。
そのため原作をまったく知らない方は、最初は少し戸惑いを感じるかもしれません。しかし物語が進むにつれて、試合の熱気とリョータのドラマに自然と引き込まれていく構成になっています。
登場人物と新キャスト(声優)

本作でファンをもっとも驚かせ、そして議論を呼んだ点のひとつがあります。それは主要メンバー5人を演じる声優陣が、1990年代のテレビアニメ版から全員一新されたことです。
26年もの間、多くのファンの中で生き続けてきた声のイメージが変わることへの抵抗感から、公開前には賛否両論が巻き起こりました。
しかし映画公開後は、井上雄彦監督が目指した「リアルな高校生の空気感」を見事に表現した新しいキャスト陣の演技が高く評価されています。
湘北と山王の主要キャスト一覧
湘北高校の主要メンバーと、物語の鍵を握るキャラクターたちの新キャストは以下のとおりです。
キャラクター | 新キャスト(声優) |
宮城リョータ | 仲村宗悟 |
三井寿 | 笠間淳 |
流川楓 | 神尾晋一郎 |
桜木花道 | 木村昴 |
赤木剛憲 | 三宅健太 |
彩子 | 瀬戸麻沙美 |
安西光義 | 宝亀克寿 |
沢北栄治(山王) | 武内駿輔 |
深津一成(山王) | 奈良徹 |
主力5人に加え、リョータの家族や対戦相手である山王工業の選手たちも、物語に深みを与える重要なキャラクターとして登場します。
テレビアニメ版ファンへの注意点
もしあなたがテレビアニメ版に強い思い入れがある場合、最初は声の違いに戸惑いを感じるかもしれません。
草尾毅さんが演じた前作の桜木花道の印象が強い方からは、木村昴さんの声に違和感を特に覚えるという意見もありました。
しかし本作で監督が求めたのは、アニメ的な誇張された演技ではなく、試合中のリアルな息遣いや感情の機微でした。
キャラクターの年齢に合った自然な会話や、コート上で交わされる声のトーンは、映画の持つリアリティを支える重要な要素となっています。
ひとつの新しい作品として耳を傾けることで、その魅力に気づくことができるはずです。
あらすじをラストの結末まで解説【ネタバレ】

本作の物語はふたつの時間軸が巧みに交差しながら進みます。ひとつは、絶対王者・山王工業との息詰まるインターハイの試合。
もうひとつは、主人公・宮城リョータが抱える、兄の死にまつわる過去の物語です。このふたつが重なり合うことで、ただの試合ではない、ひとりの少年の再生の物語が浮かび上がります。
物語の始まり|リョータの過去
物語の原点は沖縄です。リョータは3歳年上で、地元のスター選手だった兄ソータに憧れてバスケを始めます。しかしその兄を海の事故で突然失ってしまいます。

兄から受け継いだ赤いリストバンドを握りしめ、リョータは喪失感を抱えることになりました。
そして母との間に生まれた見えない壁に苦しみながら、バスケだけを心の支えに神奈川へと移り住みます。
山王戦の苦闘
そして舞台は、インターハイ2回戦に移ります。試合が始まると、湘北は序盤こそ善戦するものの、後半に入ると状況は一変します。
山王の「オールコートプレス」という鉄壁のディフェンスの前に、完全に動きを止められてしまうのです。
司令塔のリョータはボールを運べず、キャプテンの赤木はセンター河田との格の違いに自信を喪失。
そして三井は、中学時代のケガによるブランクが響き、スタミナ切れ寸前まで追い詰められてしまいます。
奇跡の追い上げ
この絶望的な状況を覆したのは、素人・桜木花道の予測不能なリバウンドでした。
花道の捨て身のプレイがチームに火をつけ、倒れ込みながらも三井は「静かにしろい」と3ポイントシュートを決め続けます。
赤木も「自分が主役じゃなくていい」と泥にまみれることを決意しました。さらに流川は、エースのプライドを超えて初めて仲間へのパスを選択します。

各々が自分の殻を破ることで、湘北は奇跡的な追い上げを見せるのです。
クライマックスと衝撃の結末
クライマックスは、残り1分を切ってから訪れます。
背中に激痛を負った花道が「オヤジの栄光時代はいつだよ…俺は今なんだよ!」と叫び、コートに復帰しました。
一進一退の攻防の末、残り数秒で山王に再逆転されます。しかし流川がゴールへ切り込み、これまで決してパスを出すことのなかった花道へボールを託します。
すべての音が消えた「無音」のなか、花道の放ったシュートがブザーと共にゴールに吸い込まれ、湘北は奇跡を成し遂げました。そして因縁のふたりが静かにハイタッチを交わすのです。
エピローグ|その後の物語
試合後、リョータは母と海辺で再会します。兄の形見のリストバンドを渡すことで、ようやく心のわだかまりを解き、母から「おかえり」という言葉をかけられました。

エピローグではときは流れ、リョータがアメリカの大学リーグと推測される舞台に立ちます。
そこで同じく渡米していた沢北とマッチアップするシーンで、物語は未来への希望と共に幕を閉じます。
原作漫画と映画の決定的違い

本作は、原作を深く読み込んでいるファンほど驚く、いくつかの決定的な違いが存在します。これは、井上雄彦監督が単なる原作のなぞり直しではないからです。
26年のときを経て、現在の自身が描きたいテーマ「痛みからの再生」を表現するために、物語を意図的に再構築したといえるでしょう。
具体的な違いは、主に以下の4点に集約されます。
主人公の視点の変更
原作は桜木花道の視点が持つ「シロートゆえの成長の熱量」が魅力でした。
一方、映画では宮城リョータの視点を通すことで、「過去の痛みを背負った司令塔の葛藤と静かな決意」が描かれます。これにより、同じ山王戦でもまったく異なる人間ドラマが浮かび上がります。
宮城リョータの過去の創造
原作ではほとんど描かれなかった宮城の家族、特に亡き兄ソータの存在が、物語の核として新たに追加されました。
この設定は、連載終了後に発表された幻の読切『ピアス』から着想を得ています。リョウタのバスケのルーツや、なぜ彼がポーカーフェイスを貫くのかといった内面を深く掘り下げているのです。
名シーンと登場人物の意図的な省略
試合のリアルなテンポ感と、物語を宮城の内面に集中させるため、原作にあった多くの要素が意図的にカットされています。
例えば、魚住が赤木を叱咤する「泥にまみれろよ」というセリフ。桜木が晴子に告白する「大好きです今度は嘘じゃないっす」といった名シーンも描かれていません。

また多くのギャグシーンや、海南大附属などのライバルたちの観戦シーンも省略されています。
未来を描くオリジナルのラストシーン
原作では山王戦の後に続くエピソードが少し描かれますが、映画では完全にオリジナルの結末が用意されました。
宮城リョータと沢北栄治が、数年後にアメリカのコートで再会する未来が描かれます。これは海外への挑戦を、ポジティブに捉える現代的なメッセージが込められているといえるでしょう。
ただしこれらの変更点、特に名シーンのカットに対して、原作を愛するファンの中には「物足りない」と感じる方もいるかもしれません。
映画「THE FIRST SLAM DUNK」は「改悪」ではなく、あくまで新しいテーマを描くための「再構築」です。原作とは異なるもうひとつの『SLAM DUNK』として鑑賞することをオススメします。
原作漫画と映画の比較表
項目 | 原作漫画 | 映画 |
主人公 | 桜木花道 | 宮城リョータ |
中心的テーマ | 天才初心者の自己発見と成長 | 痛みを乗り越え、自分の居場所を見つけること |
物語の焦点 | コート上のアクションと桜木の内面の旅 | 山王戦とリョータの家族ドラマの二重構造 |
主な省略要素 | 豊富なギャグ、ライバル校の観戦など | テンポとシリアスなトーンを維持するためカット |
エピローグ | 桜木のリハビリなど後日談を描写 | リョータと沢北がアメリカで再会する結末 |
『THE FIRST SLAM DUNK』の魅力と考察

本作が多くの観客を熱狂させた魅力の核心は、「本物の試合さながらの圧倒的な臨場感」と、宮城リョータの視点で描かれる「深く、痛みを伴う人間ドラマ」にあります。
このふたつの要素が巧みに絡み合うことで、単なるスポーツ映画の枠を超えた、唯一無二の鑑賞体験を生み出しているからです。
革命的な映像体験
具体的な魅力として、まず挙げられるのが革命的な映像体験です。これは井上雄彦監督の絵が、そのまま動き出すかのようでした。
プロ選手の動きをデジタルデータ化する「モーションキャプチャー」技術を基に、監督自身が膨大な手描きの修正を加えました。
キャラクターの重心移動や筋肉の動きといった細部までがリアルに伝わってきます。そのため観客はまるでコート上で、選手と共に戦っているかのような没入感を味わうことになります。
心を揺さぶる音響設計
また心を揺さぶる音響設計も大きな魅力です。

バッシュが床をこする鋭い音やボールが跳ねる重い音はもちろん、The Birthdayや10-FEETが手掛ける音楽の使い方も秀逸です。
試合のクライマックスでエンディング主題歌「第ゼロ感」のメロディをアレンジした劇伴が流れ出すタイミングは、特に観客の興奮を最高潮に高めます。
そしてすべてを圧倒するのがラスト数秒の「無音」の演出。息をのむ静寂が、何よりも雄弁に試合の緊張感を物語っていました。
「THE FIRST」に込められた意味
タイトルの「THE FIRST」には、複数の意味が込められています。
「初めてスラムダンクに触れる人も、長年のファンも、誰もが見たことのない『初めて』の体験を」という監督の想いがひとつ。
それに加え、これは宮城リョータが過去の痛みを乗り越え、人生の「最初(FIRST)」の一歩を踏み出す物語でもあります。
リョウタの成長を通して、湘北というチームもまた、本当の意味でひとつになる「最初(FIRST)」の瞬間を迎えるのです。
映画『THE FIRST SLAM DUNK』あらすじへの評価とQ&A
大きなスクリーン、最高の音響空間、多くの人と同時に鑑賞する時間。
— 映画『THE FIRST SLAM DUNK』公式 (@movie_slamdunk) August 22, 2023
「映画館」での唯一無二の"体験"を目指して、日本全国400館の劇場と一緒に走ってきました。
8/25(金)~31(木)の7日間、全国の映画館にてラストゲームはじまります。
https://t.co/J6xeEpDzkP#THEFIRSTSLAMDUNK終映 pic.twitter.com/oh7qfjgL7g
本作は、その斬新な切り口から多くの議論を呼びました。その議論のもとになったファンの疑問や評価について、次の構成順に詳しく掘り下げていきます。
- なぜ主人公は宮城?「宮城いらない」は本当か
- 「ひどい」は本当?酷評の理由と傑作と評されるワケ
- 『THE FIRST SLAM DUNK』はどこで見られる?
- FAQ(よくある質問)
なぜ主人公は宮城?「宮城いらない」は本当か
本作最大の謎であり、もっとも賛否を呼んだのが「なぜ主人公が宮城リョータなのか」という点です。
その答えは井上雄彦監督が26年のときを経て、単なるスポーツの勝利物語ではなく、誰もが抱える「痛み」を乗り越え成長する。この普遍的な人間ドラマを描こうとしたからに他なりません。
宮城リョータが選ばれた理由
原作の主要メンバーの中で、リョータは桜木や三井、赤木と比べて過去の背景がほとんど描かれていませんでした。
監督自身も「連載中にもっと描きたかったキャラクター」と語っています。この「描かれていない余白」があったからこそ、兄の死という重い過去を背負わせることができました。
そしてリョウタの視点から山王戦を再構築することで、まったく新しい物語を生み出すことができたのです。

もちろん、宮城リョウタが主役という大胆な変更には、厳しい意見も少なくありませんでした。
一部の原作ファンからは、「楽しみにしていた山王戦の試合中に、暗い回想が何度も入ることで集中できない」「後付けされた家族の設定に馴染めない」といった声が上がりました。
特に桜木花道の成長物語を期待していたファンにとって、宮城が主役であることに納得できない、という感想も見受けられます。
新たな視点がもたらした感動
一方で多くの観客は、宮城を主人公にした点を高く評価しています。司令塔であるポイントガードの視点は、コート全体の動きや試合の駆け引きをリアルに見せるのに非常に効果的です。
そして何より、いつも強気なリョータが隠していた心の弱さと、それを乗り越えて仲間を信じ、チームを導く存在へと成長していく姿。
この変化が山王戦の各シーン、特にクライマックスの「ドリブルこそ、チビの生きる道なんだよ!」という彼の叫びに、原作以上の深い感動を与えたのです。
主人公の変更は一部で戸惑いの声を生んだことも事実です。しかし、この決断があったからこそ、『THE FIRST SLAM DUNK』は単なる過去の名作の映画化に留まりませんでした。
原作ファンでさえも新たな涙を流す、時代を超えた傑作へと昇華されたといえるでしょう。
「ひどい」は本当? 酷評の理由と傑作と評されるワケ

映画「THE FIRST SLAM DUNK」の評価は、興行収入158億円を超える大ヒットとなった一方で、「ひどい」「がっかりした」といった厳しい意見も同時に存在します。

「THE FIRST SLAM DUNK」が原作漫画の忠実な再現ではないからです。
井上雄彦監督によるまったく新しい解釈の作品であったため、特に原作への思い入れが強いファンほど、その変化に戸惑いを感じる結果となりました。
酷評に繋がった3つのポイント
酷評に繋がった主な理由として、以下の3点が挙げられます。
テレビアニメ版からの声優交代
1つ目は、テレビアニメ版からの声優陣の総入れ替えです。長年親しまれた声のイメージとのギャップに加え、その情報が映画の前売り券販売後に発表されたことも、ファンの不満を大きくしました。
宮城リョータ中心の物語構成
2つ目は、宮城リョータを主人公にした物語の構成です。多くのファンが期待していたのは、原作通り桜木花道の視点で描かれる山王戦でした。
試合の白熱した場面で、オリジナルの暗い回想シーンが挟まれることに対し、「試合のテンポが損なわれる」という意見が見受けられました。
原作の名シーン・ギャグ要素のカット
そして3つ目は、原作にあった多くの名シーンやギャグ要素がカットされた点です。これは、物語のリアルさを追求した結果でもあるでしょう。
しかしファンが映像化を期待していた、「大好きです今度は嘘じゃないっす」といったセリフや、花道のコミカルなシーンがなかったことに対し、物足りなさを感じたという声も少なくありません。
傑作と評される理由
しかし本作が傑作と評されるのは、これらの点を上回る圧倒的な魅力と挑戦があったからです。

CGと手描きを融合させた映像は、「井上雄彦さんの絵がそのまま動いている」と評されました。
選手の息遣いや汗の飛び散る様までを描写したリアルな試合の臨場感は、これまでのアニメーションの常識を覆すほどの完成度を誇ります。
また宮城の過去を描いたことで、物語に「痛みを乗り越える」という普遍的なテーマが加わり、スポーツ漫画の枠を超えた深い感動を生み出しました。
さらに試合の興奮を増幅させる音楽、そしてクライマックスの息をのむ「無音」の演出は、多くの観客の心を鷲掴みにしたのです。
評価を分ける、作品への向き合い方
このように本作は、「原作の再現」を求めるか、「まったく新しいひとつの作品」として向き合うかによって、評価が大きく分かれます。
これは「テレビアニメの続編」ではなく、井上雄彦監督が26年のときを経て現代に届けたかった、「もうひとつのスラムダンク」なのです。
『THE FIRST SLAM DUNK』はどこで見られる?

2025年7月現在、『THE FIRST SLAM DUNK』を視聴する方法は、主に「DVD/Blu-rayの購入・レンタル」が中心となります。
動画配信サービスでの視聴状況(2025年7月現在)
動画配信サービスでの見放題配信は、現時点では一度終了している状況です。
本作は、2024年6月からNetflix(ネットフリックス)で独占配信されていましたが、1年間の配信契約が2025年6月9日で終了したと見られています。
そのため現在、Amazonプライム・ビデオやHuluなどを含め、主要な動画配信サービスでの見放題配信は行われていません。

今後の再配信については未定ですが、新たな情報に期待したいところです。
DVDやBlu-rayでの購入・レンタル
現在、もっとも確実な視聴方法はDVDやBlu-rayです。こちらは各オンラインストアでの購入が可能です。
他には、「TSUTAYA DISCAS」などの宅配DVDレンタルサービスを利用できます。
「TSUTAYA DISCAS」は、無料お試し期間が設けられており、期間内であれば実質無料で視聴することも可能です。
映画館での「復活上映」の可能性
また本作は大変な人気を博したため、過去に何度も「復活上映」として映画館で再上映されています。
今後も記念企画などで再上映される可能性は十分に考えられます。
大きなスクリーンで鑑賞したい方は、公式サイトや映画館の情報を定期的にチェックすることをオススメします。
注意点として、インターネット上には非公式にアップロードされた動画も存在しますが、これらは違法なコンテンツです。ウイルス感染などのリスクも伴うため、視聴は絶対に避けるようにしましょう。
FAQ(よくある質問)

Q1. 結局、映画の結末はどうなったの?
A1. 湘北高校が、試合終了間際の桜木花道のシュートによって王者・山王工業に1点差で劇的な逆転勝利を収めます。
物語の最後には、数年後、宮城リョータと山王のエースだった沢北栄治が、アメリカのバスケットボールコートで再び対峙するシーンが描写。
このラストシーンは、彼らの挑戦が未来へ続いていくことを示唆し、物語の幕を閉じます。
Q2. 主人公が宮城リョータなのはなぜ?
2. この記事でも触れてきたとおり、大きな理由として、原作者である井上雄彦監督の意向があります。
監督は、単に過去の作品をなぞるのではなく、「痛みやうまくいかないことを経験した人間」を今の視点で描きたかったのです。
そのテーマを描く上で、原作の主要メンバーの中で唯一その過去が詳しく語られていなかった宮城リョータが主人公に選ばれました。
リョウタの背景に、兄の死という「痛み」の物語を重ねることで、伝説の山王戦にまったく新しい深みと感動を生み出すことに成功したのです。
Q3. ラストの無音のシーンは何分くらい?
A3. 公式に秒数が発表されているわけではありませんが、約1分間です。
試合終了間際のもっとも緊迫した場面で、BGMやセリフ、効果音の一切が消えるこの演出は、観客が思わず息をのむほどの緊張感を生み出しました。
原作漫画でセリフを用いずに表現されたあのクライマックスを、映画ならではの手法で見事に再現した名シーンとして高く評価されています。
Q4. 原作漫画のどの部分を描いていますか?
A4. 主に、原作漫画のクライマックスであるインターハイ2回戦「山王工業戦」が描かれています。

コミックスでは25巻から31巻にあたる部分です。
ただし映画は試合を忠実になぞるだけではありません。
主人公である宮城リョータの幼少期や家族の物語など、原作にはない多くのオリジナルエピソードを織り交ぜながら構成されています。
Q5. 原作を読んでいなくても楽しめますか?
A5. はい、原作をまったく知らなくても映画単体で十分に楽しめます。
物語は宮城リョータの人間ドラマを中心に進むため、バスケットボールに詳しくなくても感情移入しやすくなっています。
また圧倒的な映像と音響による試合の臨場感だけでも、ひとつの映像作品として見ごたえがあります。
ただ各キャラクターの関係性や、山王戦という舞台が持つ意味の重さをより深く理解するためには、事前に原作を読んでおくことをオススメします。
映画『THE FIRST SLAM DUNK』あらすじとポイント総まとめ

本作は、宮城リョータの視点から「痛みからの再生」というテーマで物語を「再構築」した、まったく新しいSLAM DUNKです。
原作とは違うからこその戸惑いも、この映画の深い魅力を知れば、きっと新たな感動に変わります。
最後にポイントを箇条書きでまとめます。
- 主人公は桜木花道ではなく宮城リョータである
- 物語の主軸は「山王工業戦」と「宮城リョータの過去」のふたつ
- 宮城は亡き兄ソータへの想いと喪失感を抱えている
- 試合は残り数秒、桜木のブザービートで湘北が勝利する
- ラストは数年後、宮城と沢北がアメリカで再会し対決する
- テレビアニメ版から主要声優キャストは全員一新された
- 井上雄彦監督が自ら脚本・監督を務めている
- CGと手描きを融合したリアルな試合の映像表現が大きな魅力
- クライマックスの「無音」演出が作品の緊張感を高めている
- 原作にあった一部の名シーンやギャグ要素は意図的にカット
- 主人公変更やシーンカットが一部ファンから酷評される理由
- 映画のテーマは「痛みからの再生」という新たな視点で描かれる
- 視聴はDVD/Blu-rayの購入やレンタルが中心となる
最後までお読みいただき、ありがとうございました。スラムダンクを愛するライターのヨミトがお届けしました。[運営者プロフィール]