
この記事でわかること
✓ デルトラ・クエスト第一部全8巻の具体的な物語の進行と結末
✓ 物語の核心である影の大王や主要キャラクターの正体
✓ 主人公リーフと仲間たちの特徴、関係性、そして彼らが辿る運命
✓ 作品の基本的な設定、デルトラ王国の世界観、物語が始まる背景
かつて胸を躍らせ、ページをめくる手が止まらなかった冒険の物語、『デルトラ・クエスト』。
あの頃の興奮や感動をもう一度味わいたい、あるいはこれからその壮大な世界に触れてみたいと思いませんか?
この記事では、「デルトラ・クエストのあらすじが知りたい」というあなたの想いに応えるべく、物語の核心に迫る情報をお届け。
物語の始まりから衝撃の結末、魅力的な登場人物たちの運命、作品世界の隅々まで、徹底的に解説していきます。

重要なネタバレも含まれますので、初めて物語に触れる方はご注意ください。
さあ、デルトラ王国を救うための、リーフたちの冒険の旅路を一緒にたどりましょう。
『デルトラ・クエスト』のあらすじを徹底解説

この章では『デルトラ・クエスト』の壮大な物語の全貌を、次の構成の順にてわかりやすく解説します。
- 『デルトラ・クエスト』の基本情報と世界観
- デルトラ・ベルトと7つの宝石が持つ効果一覧
- シリーズ全8巻のあらすじを徹底解説(ネタバレあり)
- ついに明かされる影の大王とデインの正体
- 主要登場人物と仲間たち
『デルトラ・クエスト』の基本情報と世界観
『デルトラ・クエスト』は、手に汗握る冒険と緻密な世界設定が魅力のファンタジー小説です。
作者はオーストラリアの児童文学作家エミリー・ロッダ氏であり、2000年から発表が開始されました。
主に児童文学として知られていますが、大人も十分に楽しめる深い内容が特徴といえるでしょう。
物語の舞台と発端
物語の舞台となるのは、美しいデルトラ王国です。
かつてこの国は、王家に伝わる七つの宝石がはめこまれた魔法のベルト「デルトラ・ベルト」の力によって、平和と繁栄を享受していました。

しかし強大な力を持つ「影の大王」の長年にわたる策略によって、ベルトは破壊されます。
そして国を守っていた宝石も、デルトラ各地の「魔境」と呼ばれる危険な場所に隠されてしまうのです。
これによりデルトラ王国は影の大王の圧政下に置かれ、人々は16年もの長きにわたり苦難の時代を過ごすことになりました。
主人公の旅立ちと「16年間」の重み
このようにして物語は、16歳の誕生日を迎えた主人公リーフが、鍛冶屋の息子として平和だった頃の記憶を持たないながらも、王国を救う使命を託されるところから始まります。
リーフはデルトラ・ベルトを元に戻し、国に自由を取り戻すため、仲間と共に宝石探しの壮大な旅へと出発するのでした。
この「16年間」という設定は、若い世代が失われた輝きを取り戻そうと奮闘する姿を際立たせていると考えられます。
デルトラ・ベルトと7つの宝石が持つ効果一覧

デルトラ・ベルトとそこに嵌められた七つの宝石は、物語の核心を成す極めて重要な魔法の道具です。
それぞれが特別な力を持っており、このベルトがなければ、デルトラ王国を影の大王の支配から解放することはできません。
ベルト誕生の物語|初代国王アディンの使命
デルトラ・ベルトの誕生は、デルトラ王国の建国者である初代国王アディンの物語に遡ります。
元々は一介の鍛冶屋であったアディンは、あるとき夢のお告げを受けました。それは国を守るための強力なベルトを作る、という使命を授かるという内容でした。
アディンは当時分裂していたデルトラの地に住む七つの部族のもとを訪れます。そして誠実さと交渉力をもって各部族の信頼を得て、それぞれの部族が守護していた宝石を譲り受けたのです。
アディンは、これら七つの宝石を自らが鍛え上げたベルトにはめ込み、その統合された力で侵略してきた影の大王の軍勢を打ち破り、デルトラ王国を建国しました。
そのためデルトラ・ベルトは、単なる魔法の道具というだけでなく、部族間の結束と信頼の象徴でもあるのです。
七つの宝石とその力「DELTORA」の秘密
このベルトの真の力を引き出すには、王家の血を引く者が、七つの宝石を正しい順序で配置し身につける必要があります。
興味深いことに、宝石の英語表記の頭文字を順に並べると「DELTORA」という言葉になり、これが正しい順序の鍵となっています。
それぞれの宝石には由来する部族があり、固有の名称と以下のような効果が伝えられています。
ダイヤモンド
まずジャリス族に由来する「ダイヤモンド」は、純潔と力を象徴します。心正しき者には勇気と力を与え、真実の愛をもたらしますが、心悪しき者には恐ろしい報いを与えるといわれます。
エメラルド
次に小人族(グノメ族)に由来する「エメラルド」は、名誉の象徴です。邪悪を感じたり誓いが破られたりすると色褪せ、強い癒やしの力を持つとされています。
ラピスラズリ
メア族に由来する「ラピスラズリ」は神力の象徴です。強力な魔除けとなり、特に夜空に星が輝く時にその力は絶大になると伝えられています。
トパーズ
デル族に由来する「トパーズ」は誠実の象徴です。霊界への扉を開き、精神を強め、真実を見る目を与え、夜の恐怖から守る力があり、満月の時にその威力が増します。
オパール
平原族に由来する「オパール」は希望の象徴です。未来を映し出す力を持ち、視力の弱い者を助けるともいわれています。ラピスラズリとは特別な関わりがあるとされます。
ルビー
ララド族に由来する「ルビー」は幸福の象徴です。邪悪や怪物の存在を察知すると色褪せ、それらをかわす力があるとされています。
アメジスト
最後に、トーラ族に由来する「アメジスト」は真実の象徴です。心を落ち着かせる力があり、病を予知したり、毒物の前で色褪せたりすると伝えられています。
7つの宝石が持つ力は、主人公たちが冒険を進める上で幾度となく彼らを助けることになります。またときには、試練を与える存在ともなるのです。
七つの宝石の名称・由来する部族・主な効果一覧表
宝石名 | 由来の部族 | 主な効果 | 特記事項 |
ダイヤモンド | ジャリス族 | 純潔と力の象徴。心正しき者に勇気と力、真実の愛を与える。心悪しき者には恐ろしい報復をもたらす。暴力と不正を嫌う 。 | |
エメラルド | 小人族(グノメ族) | 名誉の象徴。邪悪を感じた時や誓いが破られた時に色褪せる。強い癒しの力を持つ 。 | |
ラピスラズリ | メア族 | 神力の象徴。強力な魔除けとなり、夜空に光る星がある時にその力は絶大となる 。 | オパールと格別の関わりがある 。 |
トパーズ | デル族 | 誠実の象徴。霊界への扉を開き、精神を強め心の目を洗い清め真実を見る目を与える。夜の恐怖から守る 。 | 満月の時にその威力が増す 。 |
オパール | 平原族 | 希望の象徴。未来を映し出す力を持ち、視力の弱き者の助けとなる 。 | ラピスラズリと格別の関わりがある 。 |
ルビー | ララド族 | 幸福の象徴。邪悪や怪物の存在を知ると色褪せ、邪悪をかわす力がある 。 | |
アメジスト | トーラ族 | 真実の象徴。心を落ち着ける力があり、病を予知し、毒物の前で色褪せる 。 |
シリーズ全8巻のあらすじを徹底解説(ネタバレあり)

『デルトラ・クエスト』第一部は、全8巻からなる壮大な冒険物語です。こ
こでは主人公リーフたちがデルトラ王国を救うため、七つの宝石を集める旅の軌跡を振り返ります。
各巻の重要な出来事と共に、ネタバレを含んでご紹介します。
旅の始まりと仲間たち(第1巻~第3巻)
第1巻『沈黙の森』では、16歳になったリーフが父ジェード(正体はエンドン王)から自身の使命を告げられます。彼は元王宮衛兵のバルダと共に旅立ちます。
最初の目的地である「沈黙の森」で、彼らは野生の少女ジャスミンと彼女の仲間であるカラスのクリー、小動物フィリと出会いました。
そして共に森の番人ゴールを倒して、最初の宝石「トパーズ」を手に入れます。
第2巻『嘆きの湖』で一行は、2つ目の宝石「ルビー」が隠されている「嘆きの湖」へ向かいます。
この地を支配する強力な魔女テーガンとの困難な戦いを経て、湖の底からルビーを確保することに成功しました。
この冒険では、テーガンに声を奪われたララド族との出会いも描かれています。
第3巻『ネズミの街』では、3つ目の宝石「オパール」を求めます。
旅の途中で立ち寄ったトムの奇妙な店や、「清潔の法」に支配されたチュルナイの街を経て、ネズミに支配された「ラット・シティ」に到着しました。
そこで巨大な蛇リアの頭部にはめられたオパールを、知恵と勇気で手に入れます。
試練の連続と深まる謎(第4巻~第6巻)
第4巻『うごめく砂』の舞台は広大な砂漠地帯です。
4つ目の宝石「ラピスラズリ」を探す道中、一行はリスメアの街で開催される格闘大会に参加しますが、これは影の大王軍の罠でした。
オパールが持つ未来予知の力などを駆使して危機を乗り越え、ラピスラズリを確保します。
第5巻『恐怖の山』では、5つ目の宝石「エメラルド」を求めて影の王国との国境近くへ進みました。
不思議な「夢の泉」や、山を追われた伝説の動物キンとの出会いを経て、恐怖の山を支配する怪物ゲリックと対決します。
小人族(グノメ族)と協力してゲリックを倒し、エメラルドを奪還しました。
第6巻『魔物の洞窟』では、六つ目の宝石「アメジスト」の探索が描かれます。この巻で後に重要な役割を果たす、レジスタンスの少年デインが仲間に加わりました。
変身能力を持つオルや盗賊団、賢い動物ポリパンなど新たな出会いと危機を経て、洞窟の番人である巨大なナメクジのような怪物グルーを出し抜き、アメジストを手に入れます。
全ての宝石と衝撃の真実(第7巻~第8巻)
第7巻『いましめの谷』で、ついに最後の宝石「ダイヤモンド」の探索が始まります。一行は、かつてデルトラ王家に忠誠を誓ったトーラ族の街を訪れますが、そこはもぬけの殻でした。
トーラ族は過去の誓いを破った罰として魂を囚われていたのです。
谷の番人ファーディープとの謎解きゲームや、同行者ネリダの裏切りといった困難を乗り越え、ダイヤモンドを手に入れます。
最終巻『帰還』王位継承者と明かされる謎
そして最終巻となる第8巻『帰還』では、全ての宝石が揃ったデルトラ・ベルトの力を解放するため、正当な王位継承者を探すことになります。
衝撃的な展開が続き、仲間だと思っていたデインが実は影の大王に仕える最上級のオル「Aオル」であったことが判明。
謎の道化師ジョーカーの正体がジャスミンの父ジャードであったこと、そして主人公リーフこそがエンドン王とシャーン王妃の間に生まれた真の世継ぎであったという事実が次々と明らかになるのです。
16年前の身分入れ替えの真相が語られ、リーフが宝石を正しい順序「DELTORA」で並べ替えたベルトを身に着けると、その力で影の大王軍は追放され、デルトラ王国に平和が戻るのでした。
しかしこの戦いで、リーフの父エンドンは命を落とすことになります。
ついに明かされる影の大王とデインの正体

『デルトラ・クエスト』の物語において、読者の心を掴んで離さない大きな謎のひとつが、最大の敵である「影の大王」と、途中で仲間になる少年「デイン」の正体です。
これらのキャラクターの秘密が明らかになる時、物語は大きく動くことになります。
影の大王|その恐るべき本性と戦略
まず「影の大王」ですが、彼はシリーズ全体を通してデルトラ王国を脅かす元凶といえる存在です。
その正体は、元々は人間であり、遠い昔にデルトラの地にやってきた強力な魔法使いだったとされています。
しかし長い年月の間に人ならざる邪悪な存在へと変貌を遂げ、極めて狡猾で残虐な性格を持つようになりました。

卓越した策士家でもあり、常に周到な計画でデルトラ王国を狙います。
原作小説の第一部では、影の大王が直接的に姿を現すことはありません。しかしその影響力はデルトラ全土に及び、手先や怪物を操ってリーフたちの行く手を阻むのです。
ちなみにアニメ版では、物語の終盤で山のように巨大な異形の怪物としての姿を現し、リーフたちと直接対決する場面が描かれました。
影の大王の主な目的はデルトラ王国を完全に支配し、その民を隷属させることにあります。そのために主席顧問官プランディンや、腹心の部下ファローといった手先をデルトラ王宮に送り込みました。
そして王家を内側から腐敗させ国力を弱体化させるという、長期的な策略を実行したのです。
このように単なる武力侵略だけでなく、内部からの崩壊も狙うのが影の大王の恐ろしい戦略です。
デイン|裏切り者の衝撃的な正体
次に「デイン」についてです。
デインは物語中盤の第6巻『魔物の洞窟』で、影の大王に抵抗するレジスタンスの一員としてリーフたちの前に現れます。そして頼りになる仲間として、共に冒険を続けました。
しかし第一部の最終巻である第8巻『帰還』において、その衝撃的な正体が明らかになるのです。
デインは、実は影の大王に仕える最上級のオル「Aオル」であり、リーフたちを欺き、スパイ活動を行うために送り込まれた裏切り者だったのでした。
Aオルとしての巧妙な潜入と工作
Aオルとしてのデインは、人間と見分けがつかないほど完璧な擬態能力と高い知性を持ち合わせていました。
彼はその能力を巧みに利用し、リーフたちが探すデルトラ王国の世継ぎであるかのように振る舞い、一行の信頼を得ることに成功します。
その間、重傷を負ったバルダの看病をするふりをして、回復を遅らせるために毒を盛ることもありました。
またリーフが大切にしていた短剣に姿を変えて、一行の動向や会話を密かに探るなど、陰湿な工作活動を行っていたのです。
裏切りの露見とデインが象徴するもの
最終的に彼の裏切りは露見し、正体を現したデイン(Aオル)はリーフたちに襲いかかります。しかしリーフが、デルトラ・ベルトの聖なる力を利用して彼を打ち破りました。
デインの存在は、影の大王が用いるもっとも陰湿な戦術、すなわち敵対組織への潜入工作や信頼関係の破壊といった心理戦を象徴しています。
これにより、物語に大きな緊張感とサスペンスがもたらされました。
主要登場人物と仲間たち

『デルトラ・クエスト』の物語は、魅力的な登場人物たちによって彩られています。
彼らの個性や成長や仲間との絆が、この物語の大きな魅力のひとつといえるでしょう。ここでは物語の中心となる、主要な人物たちを紹介します。
主人公リーフ|運命を背負う少年王
まず主人公のリーフは、デルの街で鍛冶屋の息子として育った16歳の少年です。
しかしその真の姿は、影の大王によって国を追われたデルトラ国王エンドンとシャーン王妃の間に生まれた、正当な王位継承者なのでした。
リーフは非常に頭の回転が速く、強い正義感と良心を持ち合わせています。その一方で若さゆえに目先の正義に囚われ、時に衝動的で未熟な判断を下してしまうこともあります。
幼い頃から両親によって密かに教育を施され、デルトラ王国の歴史や伝説が記された「デルトラの書」を暗記するなど、人並み外れた教養を身につけている点も特徴です。
リーフの冒険は数々の試練や仲間との出会いを通じて、ひとりの少年が王国を導くリーダーへと成長していく物語でもあります。
頼れる仲間バルダ|経験豊富な元衛兵
次にバルダは、かつてデルトラ城の衛兵を務めていた屈強な戦士です。彼はリーフの旅における最初の、そしてもっとも信頼できる年長の仲間となります。
デルトラ国王エンドンの乳母であったミンを母に持ち、その母が影の大王の手先によって殺害されたという悲しい過去を背負っていました。
そのため祖国と母の仇を討つという強い動機を胸に、リーフと共に戦います。

性格は冷静沈着かつ現実的で、豊富な戦闘経験と知識を持っていました。
年長者として、しばしばリーフやジャスミンを諭し、導く父親のような役割を果たします。
しかしときには、影の王国が仕掛ける巧妙な罠に意外なほど脆さを見せることもあり、人間味あふれる一面も持っている人物です。
森の少女ジャスミン|自然と心を通わす野生児
そしてジャスミンは、デルトラ王国の辺境「沈黙の森」で育った、リーフと同い年の16歳の野性的な美少女です。
ジャスミンはかつてエンドン王の親友であったジャードと、その妻アンナの間に生まれた娘でした。
7歳のときに両親を影の憲兵団によって拉致されます。その後はカラスのクリーと、フィリと呼ばれるヤマネに似た小動物と共に、森の中でたったひとりで生き抜いてきました。
このような経験から、自然を深く愛し、木々や動物たちと意思疎通を図ることができるという特殊な能力を持っています。
ジャスミンは一行の中で、自然界との深いつながりを象徴する存在です。
リーフの書物から得た知識やバルダの世俗的な経験とは異なる種類の直感や知恵をもたらし、何度も彼らの危機を救うことになります。
親世代の運命と物語の鍵
物語の中心にはこれらの若い主人公たちだけでなく、彼らの親世代の複雑な運命と決断が深く関わっています。
リーフの実の父親であるエンドン国王は、鍛冶屋「ジェード」としてデルの街に潜伏していました。
ジャスミンの実の父親であるジャードは、エンドン王の親友であり、王の身代わりとなって追手から逃れた後、記憶を失いレジスタンスのリーダー「ジョーカー」として戦っていたのです。
そしてリーフの実母シャーン王妃は、鍛冶屋の妻「アンナ」として、ジャスミンの実母アンナはシャーン王妃の身代わりとして過酷な運命を辿ります。
このように複雑に絡み合ったこの親たちの関係と自己犠牲が、物語の終盤で明らかになる最大の謎でした。それはデルトラ王国の未来を守るための深い愛情と忠誠心を示しています。
あらすじから深掘る『デルトラ・クエスト』の魅力

この章では次のことを取り上げて、『デルトラ・クエスト』の世界や魅力をさらに深掘りします。
- 『デルトラ・クエスト』の魅力と続編シリーズ
- アニメや漫画は?原作小説との違い
- 読者の感想・評価まとめ
- 『デルトラ・クエスト』はどこで見られる?
『デルトラ・クエスト』の魅力と続編シリーズ
『デルトラ・クエスト』が多くの読者を惹きつけてやまない理由は、その多岐にわたる魅力にあります。
巧みに織り込まれた謎解きとキャラクターたちの成長、仲間同士の友情、物語の根底に流れる普遍的なテーマ性が、この作品を特別なものにしていると考えられます。
色褪せない作品の魅力|謎解き・成長・友情
まず物語の各所で提示される謎やパズルは、読者を積極的に物語に参加させます。そして主人公たちと共に、解決策を模索する楽しみを提供してくれます。
これらの謎は単なる知的な挑戦に留まらず、デルトラの歴史や世界の法則、宝石の力と深く結びついており、物語をより重層的なものにしているのです。

また主人公リーフをはじめとするキャラクターたちは、過酷な冒険を通じて顕著な成長を遂げます。
当初は未熟さや弱さを見せていた各キャラが、数々の試練に立ち向かい、失敗から学びました。そして仲間と支え合う中で、肉体的にも精神的にもたくましくなっていく姿は、多くの読者に感動を与えます。
リーフ、バルダ、ジャスミンの3人が互いの長所と短所を理解し合い、困難な状況下で信頼関係を深めていく様子は特に、この物語の大きな魅力のひとつといえるでしょう。
さらに物語は、次のような普遍的なテーマを探求しています。
- 友情
- 勇気
- 希望
- 犠牲
- 正義
影の大王による圧政という絶望的な状況下でも、人間の優しさや誇り、他者を信じる心が失われることはありません。やがてそれらが悪に対する抵抗力となる様が描かれています。
これらのテーマは、児童文学という枠を超えて、幅広い年齢層の読者の心に響く力を持っています。
広がるデルトラの世界|続編シリーズ
『デルトラ・クエスト』の物語は、第一部(全8巻)の完結後も、さらなる冒険を描く続編シリーズへと展開しています。
『デルトラ・クエストII 影の王国』
1つ目の続編は『デルトラ・クエストII 影の王国』(全3巻)です。
第一部で影の大王をデルトラから追い払ったものの、多くのデルトラ国民が影の王国へ連れ去られたままでした。
リーフたちは彼らを救出するため、そしてあらゆる邪悪を退けるという伝説の「ピラの笛」を見つけ出すため、再び危険な冒険に旅立ちます。
一方ジャスミンは、影の王国に囚われているという妹の存在を知り、単独で影の王国へ向かうという波乱も描かれました。
『デルトラ・クエストIII ドラゴンの巣』
2つ目の続編は『デルトラ・クエストIII ドラゴンの巣』(全4巻)です。

影の王国から国民を救出したものの、デルトラは未曾有の大飢饉に見舞われ、国土は荒廃してしまいます。
リーフは影の大王が仕組んだ「四人の歌姫」という、新たな脅威を知りました。そしてデルトラを復興させ、歌姫たちを倒すため、3度目の冒険に出ることになります。
このシリーズでは、デルトラの伝説に登場するドラゴンたちが重要な役割を果たすことになります。
その他の関連作品
これらの続編シリーズに加え、『デルトラの伝説』といった外伝や、モンスターブック、ガイドブックなども出版されており、デルトラの世界をより深く楽しむことができます。
エミリー・ロッダ氏の他のファンタジーシリーズも、デルトラ・クエストと同じ世界観を共有しています。
そして相互に関連しあう壮大な物語宇宙を形成している点も、ファンにとっては大きな魅力といえるでしょう。
アニメや漫画は?原作小説との違い

『デルトラ・クエスト』の魅力的な物語は、原作小説だけでなく、アニメーションや漫画という形でも多くのファンに届けられました。
これらのメディアミックス作品は、原作の面白さを大切にしつつも、それぞれの表現方法に合わせた特徴があります。また一部原作とは異なる点も見受けられます。
アニメ版の特徴と原作との相違点
まずアニメ版についてですが、2007年から2008年にかけて全65話が放送されました。
物語の大きな流れとしては、第52話までは原作小説の第一部(全8巻)の冒険を比較的忠実に描いています。
アニメオリジナルの展開と構成の工夫
しかしそれ以降の第53話から最終話までは、アニメオリジナルのストーリーが展開されました。
そこでは影の大王を退けた後のデルトラ王国の様子や、リーフたちが再び旅に出るエピソードなどが描かれています。
また原作では、序盤に語られるエンドン国王とジャードの過去の物語が、アニメでは中盤にリーフの回想として挿入されるなど、構成にも工夫が見られます。

特に影の大王との最終決戦は、原作よりも詳細かつドラマチックに描かれました。
初代国王アディンの姿をした巨人が登場する迫力あるシーンはアニメならではの演出といえるでしょう。
親しみやすいキャラクターデザインと色彩
キャラクターデザインに関しても原作の挿絵とは異なり、より低年齢層にも親しみやすい丸みを帯びた可愛らしい絵柄が採用されています。
例えば、ジャスミンの髪の色が原作の黒髪から深い緑色に変更されるなど、色彩も明るくカラフルになっている点が特徴です。
これらの変更は原作者も了承しており、アニメと小説それぞれで楽しめるよう配慮されています。
漫画版の特徴と原作との相違点
一方の漫画版は、にわのまこと氏による作画で、主に「コミックボンボン」で連載されました。単行本は全10巻で完結しています。
物語は原作に比較的忠実に、ジャードとエンドンの幼い時代から始まる構成です。
にわのまこと氏の持ち味である迫力あるバトル描写やダイナミックなアクションが随所に見られます。キャラクターの感情表現や戦いの場面には独自の解釈やアレンジが加えられていました。
ただし連載されていた雑誌が途中で休刊するという事情もあり、物語の後半は原作数巻分を漫画1冊にまとめるなど、やや駆け足の展開になっている部分も見受けられます。
それでも原作の持つ謎解きや冒険の要素を大切にしながら、漫画ならではの表現で物語を最後まで描き切っています。
メディアミックス作品それぞれの楽しみ方
このようにアニメ版も漫画版も、原作小説の核となる魅力を伝えつつ、メディアの特性を活かした独自の面白さを加えています。
原作ファンはもちろん、これから『デルトラ・クエスト』の世界に触れる方にとっても、それぞれ異なる楽しみ方ができるでしょう。
読者の感想・評価まとめ

『デルトラ・クエスト』は、出版から長い年月が経った現在でも、多くの読者から熱い支持を受けている作品です。
その魅力は多岐にわたり、読者それぞれが異なる部分に心を動かされている様子が、寄せられた感想からうかがえます。
読者が語る冒険の興奮と作品へののめり込み
非常に多くの感想で見られるのは、少年少女時代にこの物語に出会い、夢中になって読んだという体験談です。
キラキラとした美しい表紙に惹かれて手に取ったという声も多く、物語の世界に入り込み、壮大な冒険を共にしたようなワクワク感を覚えたと語る人が少なくありません。

「本を読みすぎて他のことが手につかなくなった」というエピソードもあります。
また「RPG(ロールプレイングゲーム)を真面目に小説にしたような設定がたまらない」といった、作品への深いのめり込みを示す感想が目立ちます。
物語構成とキャラクターへの称賛
また物語の構成の巧みさに対する評価も高いです。
特に評価が高いのは、散りばめられた伏線が終盤で見事に回収される展開や、予想を裏切るどんでん返しです。
これらの点には「鳥肌が立った」「素晴らしい」といった、称賛の声が多く聞かれます。
登場人物が多いにもかかわらず、無駄なキャラクターや道具が一切なく、全ての要素が物語に深く関わっている点を指摘する感想も見受けられました。
キャラクターたちの魅力も、この作品が愛される大きな理由のひとつです。

主人公リーフの成長や、仲間であるバルダ、ジャスミンとの絆の深さに感動したという声は後を絶ちません。
特にヒロインのジャスミンについては、「芯が強く、媚びない姿が斬新だった」「大好きだった」という熱い思いを語る読者が多くいます。自立したキャラクター像は、多くの人の心に残っているのです。
作品が持つ深いテーマ性と読者への影響
さらに物語のテーマ性についても言及があります。
「ただの冒険譚ではなく、友情、勇気、知恵の大切さといった教訓が自然な形で盛り込まれている」という意見や、
「大人になって読み返しても新たな発見がある」など、児童文学でありながら深いメッセージ性を持つ点を評価する声も聞かれます。
ある読者は、この物語の最大のテーマを「何を信じられるかを自分自身で見極めること」と考察しており、作品が読者に与える影響の大きさを物語っています。
このように『デルトラ・クエスト』は、次のような多くの要素が読者の心を掴んでいます。
- 手に汗握る冒険
- 緻密な世界観
- 魅力的なキャラクター
- 心に響くテーマ性…など
ゆえに長年にわたって、愛され続けている作品であるといえるでしょう。
『デルトラ・クエスト』はどこで見られる?

『デルトラ・クエスト』の壮大な物語をもう一度みたい、またはこれから初めて見てみたいけど、どうすればお得に楽しめるのだろう、とお考えの方もいるでしょう。
ここでは小説、漫画、アニメそれぞれについて、賢く楽しむための方法をいくつかご紹介します。
原作小説|多様な入手方法
まず原作小説ですが、もっとも経済的なのはお近くの公立図書館や学校図書館を利用することです。多くの図書館で所蔵されており、無料で読むことができます。
もし手元に置いておきたい場合は、中古書店やオンラインの古本サイト、フリマアプリなどを探してみましょう。全巻セットや個別の巻が比較的安価に見つかることがあります。
もちろん、新品を書店やオンラインストアで購入することも可能です。
手軽さとお得さを重視するなら電子書籍という選択肢もあります。時折セールが行われることもあるため、タイミングが合えばお得に購入できるかもしれません。
漫画版|中古市場や電子書籍で探す
次に、にわのまこと氏による漫画版(全10巻)についてです。こちらも小説と同様に、まずは図書館に所蔵があるか確認してみるのが良いでしょう。
漫画版は既に完結しており、新品での入手は少し難しいかもしれません。しかし中古市場では、オンラインの古書店やフリマアプリなどで全巻セットや単巻で取引されています。
電子書籍版が提供されている場合もありますので、手軽に読みたい方はそちらを探してみるのもひとつの方法です。
アニメ版|DVDレンタルや購入が中心
そしてアニメ版(全65話)ですが、2025年5月現時点では残念ながら主要な定額制動画配信サービスでの配信はありません。そのため主な視聴方法は、DVDメディアとなります。
TSUTAYA DISCASやゲオ宅配レンタルといった宅配DVDレンタルサービスを利用するのが一般的でしょう。
これらのサービスでは、新規登録者向けに一定期間無料でお試しできるキャンペーンを実施していることが多いです。

うまく活用すれば実質無料で視聴できる可能性があります。
ただし無料トライアルの条件やDVDの在庫状況は変動するため、利用前には必ず各サービスの公式サイトで詳細を確認するようにしてください。
もちろん、中古のDVDを購入するという方法もありますが、価格は状態や出品者によって異なります。
お得に見る方法まとめ
以上のように、小説や漫画は図書館や中古品を賢く利用する方法があります。
またアニメは、宅配DVDレンタルの無料トライアルなどを活用することで、お得に楽しむことが可能です。
これらの方法で、『デルトラ・クエスト』の世界を再訪したり、新たに探求したりできるでしょう。

ご自身のスタイルに合った方法で、ぜひこの素晴らしい物語を楽しんでみてください。
『デルトラ・クエスト』あらすじと主要ポイントまとめ

- 『デルトラ・クエスト』はエミリー・ロッダ作の冒険ファンタジー小説である
- 物語は影の大王の脅威にさらされるデルトラ王国が舞台である
- 魔法の「デルトラ・ベルト」と七つの宝石が王国の運命を左右する
- 主人公リーフが仲間と共に、奪われた宝石を探す壮大な旅に出る
- 初代国王アディンは七つの部族の力を結集し、ベルトと宝石で国を守った
- 七つの宝石はそれぞれ固有の力を持ち、正しい順序で真の力を発揮する
- リーフたちは各魔境で試練を乗り越え、ひとつずつ宝石を集めていく
- 最終巻ではリーフの出生の秘密や、黒幕たちの正体が衝撃的に明かされる
- 最大の敵である影の大王は、元は人間でありながら邪悪な存在と化した
- 味方と思われたデインの正体は、影の大王に仕える最上級の怪物であった
- リーフ、バルダ、ジャスミンの三人が中心となり冒険を繰り広げる
- 彼らの親世代の過去と、複雑な身分の入れ替えが物語の大きな鍵となる
- 巧みな謎解き、キャラクターの成長、仲間との友情が読者を惹きつける
- アニメ版や漫画版も制作され、それぞれ原作とは異なる魅力を持つ
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